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「後継者=次の社長」は彼でよかったのか?経営者たちは「佐治の決断」「タケダの迷走」をどう見たか
佐治氏(左)は68歳、新浪氏は55歳〔PHOTO〕gettyimages

「会社の命運」をかけたこの選択は果たして正解か、間違いか

超異例の人事なだけに、社内の動揺は収まらない。外から見ていてもハラハラさせられる抜擢である。ただ、経営者たちの見方は「素人」とは違う。彼らの目には、まったく別の風景が見えていた。

とても隠居はできない

人事は難しい。とかく次の社長を選ぶ後継者人事は、なにが正しくて、間違っているのか頭を悩まされる。そんなことを痛感させられる「騒動」が、日本を代表する二大企業で起こった。

一つはサントリーホールディングス。創業一族が社長を担ってきたが、4代目社長にして創業家の佐治信忠氏が、次の社長にローソン会長の新浪剛史氏を抜擢したことで、「まさか外様の社長を連れてくるとは」と社内も騒然となっている。

もう一つはタケダ(武田薬品工業)。'03年から社長を務めてきた長谷川閑史氏が外国人社長を招聘すると決定。英製薬会社グラクソ・スミスクラインのワクチン部門のトップにあったクリストフ・ウェバー氏がこのほど社長に就任したが、タケダのOBや創業一族が株主総会でこの人事に「反対」を突きつける迷走劇に発展している。

ともに社内に新しい風を吹き込むための外部招聘であり、今後の会社の命運を決定するグローバル事業を託した形のバトンタッチ。順送り人事が慣例化する日本企業では超異例といえるこの選択は、果たして正しいのか、間違いなのか。

今回本誌は、社長や役員として経営に携わってきた経営層に、両社の選択をどう見ているかを取材した。

タケダのクリストフ・ウェバー氏は47歳、長谷川氏は68歳〔PHOTO〕gettyimages

共通しているのは、佐治、長谷川両氏が社長の座を譲ったからといって、「隠居生活」となれば話にならず、むしろこれから手腕が問われるとの意見である。東京海上火災保険取締役、東京海上カードサービス社長などを務めた志摩峻氏が言う。

「東京海上などの金融機関では、トップが後継者を選ぶ前に、候補者たちとプライベートな関係を築いた上で人柄まで熟知していく。その過程で候補者たちは『自分は外れた』とわかるようになっていて、ある意味で納得感を与えながら人事が決まる。そうしないと離散する人が増えて、組織が保たれなくなるのです。

その点、サントリー、タケダ両社が選択した外部招聘というのは、急激すぎて社内秩序を壊してしまう危険性がある。この際に大事なのは佐治氏、長谷川氏がプロパーの役員たちに『今はお前たちじゃダメなんだ』『君たちじゃ満足できない』ときっちり伝え納得させることです。面と向かってそう言うのは勇気がいりますが、それができないと今後の組織運営に大きな弊害が生じる可能性があります」

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