最近、「プライムビーフ」という言葉をよく聞くようになった。プライムビーフとはアメリカ産の牛肉の格付け等級のひとつである。日本では、A5やA3といった言葉で有名になった国産和牛の格付け等級があるが、肉食先進国であるアメリカでも、牛の種類、性別、成熟度、脂肪交雑(脂の入り方)、歩留等級などによってランクづけされている。
優れたものから、プライム、コマーシャル、チョイス、ユーティリティ、セレクト、カッター、スタンダード、キャナーの8等級に分類され、そのなかで日本に入ってくる牛肉は、プライム、チョイス、セレクトである。
最近、プライムビーフという最上級の肉を指す言葉をよく聞くようになった理由は、今までは、月齢20ヵ月以下の牛肉までしか輸入できないよう規制されていたのが、BSE問題によって、去年の2月から月齢30ヵ月以下のものも輸入できるように緩和され、これによって成熟した牛肉が輸入されることとなり、去年から今年にかけて一気にプライム、つまりアメリカ産の最高等級の牛肉を売りにする店が増えはじめたからである。
そのプライムの名を店名に冠したのが、赤坂から恵比寿に移転した『ロウリーズ・ザ・プライムリブ・東京』である。そもそもこのお店は、1938年にアメリカのロサンゼルスで創業したプライムリブ専門店で、特製スパイスを塗った上質な骨付きプライムリブを焼き上げた、アメリカンスタイルのローストビーフを提供している。「シルバー」とよばれる銀製の特製カート(保温ワゴン)のなかに、大きな塊のプライムリブを縦置きにし、客の目の前で好みのサイズと焼き加減を聞いて、その場でカットするスタイルで人気を得た。・・・・・・この続きは『現代ビジネスブレイブ イノベーションマガジン』vol084(2014年7月9日配信)に収録しています。