古賀茂明 日本再生のために(その2)---「集団的自衛権の行使容認に見る安倍政権の世論操縦哲学」
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンvol097---日本再生のためにより

安倍さんは嘘をつくことを何とも思っていない 国民を馬鹿にしているからだ

集団的自衛権に関する安倍さんの記者会見を見たとき、私は昨年9月のブエノスアイレスで行われたIOC総会での安倍総理の演説と質疑を思い出した。

「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています(The situation is under control)。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」

「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされています」

こんな大嘘をついても、オリンピックが来れば国民は単純だから歓喜して原発事故の事なんかみんな忘れる。その熱気に水を差すことをためらうマスコミは、汚染水よりもオリンピック騒ぎを大きく報道するはずだという安倍さんの読み。これは見事に当たった。

五輪誘致決定直後から、それまで隠蔽されていた汚染水問題が次々と明るみに出たが、マスコミは五輪招致報道を優先し、「大嘘発言」はほとんど追及されなかった。

そうした国民を馬鹿にする基本姿勢は今日も健在だ。

グレーゾーンだ、集団安全保障だ、などと議論の土俵を広げて拡散し、中国、韓国への敵意を煽り、感情に訴えれば国民は簡単に騙せると読んだ。当初は、マスコミもその注文に乗って、憲法違反というそもそも論を忘れて具体的事例の解説に報道内容をシフトした。この時点までは、まだ安倍総理は楽観的だったはずだ。

世論の動きに敏感に反応する安倍政権

しかし、姑息な手段で乗り切るには、あまりに問題が大きすぎた。時間が経っても、世論調査での反対は小さくならない。それどころかむしろ反対論の方が時間とともに増加する傾向が出て来た。特定秘密保護法の時と似ている。このままではどんどん反対の世論が高まって、閣議決定が困難になる事態もあり得る。7月13日の滋賀県知事選も気がかりだ。

そこで、6月にはいると、急遽戦術を切り替え、6月22日までの国会会期中に閣議決定するという方針を決める。急ぐ理由は、国際情勢の変化。ぐずぐずしている暇はないと危機感を煽った。先月の動画版でも指摘したとおり、ワールドカップでの日本代表の活躍を当て込んでという思惑もあった。結局、公明党の抵抗で、会期中の決定はできなかったが、公明党が連立離脱もほのめかしながら、統一地方選での応援ができないと言って抵抗したのに対して、安倍総理は、それでもいいという「公明切り」の「脅し」をかけたと言われている。「強面」も安倍政権特有の戦術だ。公明党は、「与党でいたい病」を発症し、やむなく全面譲歩に追い込まれる。

閣議決定直後は、公明党の反発が強い集団的自衛権の関連法案提出は、来春の統一地方選挙後とするが、その前に秋の臨時国会で、グレーゾーンへの対処やPKOなどに関連する法案を先に提出する段階論が報道されていたが、わずか1週間もたたないうちに、全ての関連法案提出を一括して、来春の統一地方戦後まで持ち越す方針に転換した。菅義偉(すが・よしひで)官房長官も7日の記者会見で「向こう約1年かけて国民の皆さんの前でしっかり議論を進めていきたい」として、来年の通常国会で法整備する意向を示した。あれだけ急いで閣議決定したのは何のためだったのか。まあ、「大嘘つきの安倍さん」にとっては、たいしたことではないのだろう。

こうした方針転換の背景としては、集団的自衛権の行使を認める閣議決定後の世論調査で軒並み支持率が下がったことが挙げられる。特に、若者の間で、集団的自衛権への関心が急速に高まり、これまで安倍総理が自信を持っていた若者層の支持が揺らいだということの衝撃は大きかったのではないか。この状況で臨時国会に法案審議を強行すれば、世論のさらなる反発を招くという警戒感から、ここでいったん休みを入れるという作戦に転じたとみることができる。(以下略)

・・・・・・・・・この続きは、『古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol097(2014年7月11日配信)に収録しています。

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◆古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンvol097 目次

―第1部― 日本再生のために
 1.加速する原発再稼動の動き
 2.集団的自衛権の行使容認に見る安倍政権の世論操縦哲学
 3.集団的自衛権でもう一度言いたいこと
―第2部― 読者との対話
―第3部― 古賀さんのスケジュール