東日本大震災では3000人の関連死が!「国土強靭化」に欠けている「レジリエンス」という視点

勉強会の様子

つい先日のこと。子どもが通う保育園で避難訓練に参加した。サイレンが鳴り「地震が発生しました」という先生の声を合図に、工作を中断し一ヵ所に集まる。「隣の家から火災が発生しました」というアナウンスで子どもたちは園庭に避難した。

ちょうど保育参観の日で、居合わせた保護者は防災頭巾を子どもに被せたり、誘導を手伝った。0歳、1歳児は先生が前に抱っこ、後ろにおんぶで降りてくる。本当に地震が起きた時、先生たちが子どもの命を守ってくれることがよく分かった。

毎月1回行われている避難訓練に子どもたちは慣れていて、3~5歳児は黙って防災頭巾をかぶり座って指示を待つ。時折泣いているのはいつもと違う状態におびえている赤ちゃん数名。訓練がなかったら、みんなが泣いてしまい大混乱になるだろう。

回復・復元する力を意味する「レジリエンス」

この様子を見ていて腑に落ちたことがある。防災の世界基準とされる「脆弱性(ぜいじゃくせい)」と「レジリエンス」から考える「災害に強い社会」という概念だ。平時から脆弱性が高い属性に配慮できていれば、災害後の回復力は高くなる、という。

この概念を知ったのはUNDPと国際協力NGOオックスファム・ジャパン、ジェンダー・アクション・プラットフォームが開催した「ジェンダー視点から考える復興・防災~東北での支援活動の成果と教訓~」と題した勉強会。東京・表参道の国連大学本部ビルに専門家や政府関係者(内閣府、復興庁、外務省など)が集まる。6月と7月の2回、開催された。来春、仙台で開かれる「第3回国連防災世界会議」に向けた勉強会である。

ここで聞いた静岡大学・池田恵子教授の「災害に強い社会づくりとは」という報告によると、「脆弱性」とは「災害から影響を受けやすい状況」を意味し、特定の状況にある人や集団が該当する。

冒頭紹介した避難訓練の例を当てはめると、自力で移動できない赤ちゃんや、安全な避難場所が分からない子どもは脆弱性が高い。東日本大震災では、乳幼児や障害を持つ人、そしてその家族が安心して避難所にいられない、という問題が起きた。こういう人たちもまた、脆弱性が高い。

脆弱性とは、特定の属性にある人が生まれながらに備えているものではない。同じ年齢の子どもでも、避難訓練を受けたことのない子どもは、避難訓練を定期的に行う子どもより脆弱性が高い。また障害のある人の場合でも、バリアフリー化や障害者福祉の取り組みが進んだ地域に住む人は、そうでない地域に住む人よりも脆弱性は低くなるだろう。脆弱性は社会や政策が作り出す。

そして「レジリエンス」は専門家の間では「定義が数十もあると言われるが、一番分かりやすく言えば、回復する力とか復元する力のこと」(池田教授)。

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