桑田真澄さん推薦!ゴキゲンな監督が率いる弱小チームがついに甲子園に?――野球を通じて少年の成長を描いた青春小説の最終章。『どなんまか(3)』 文庫版で登場

2014年07月13日(日)
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ピッツバーグ・パイレーツ時代の桑田真澄投手---〔PHOTO〕gettyimages

はた目には、遊んでいるようにも見えるでしょう。でも、れっきとした練習です。股越しだとグラブを思うように操作できないから、ボール2、3個分の誤差しか許されない。だから、余裕を持って待ちかまえられるように、落下地点に早く、正確に行くようになるんです。体に当たったら痛いので、適度な緊張感も出てきます。これは、楽しみながら、しっかりとフライ捕球に必要な技術を身につけられる------という、僕なりの指導法です。

じつはこれ、僕が現役時代にやっていたことなんです。先発投手は登板した翌日は〝上がり〟と言って、練習メニューが軽めになります。試合前練習の時に、余った時間は外野でフリー打撃の球拾いをするんですが、その際にやっていました。狙いは、前述したとおり。遊んでいるように見えても、すごくいい練習になるんです。

〝普通の練習〟とは、ちょっとちがうかもしれない。でも、楽しいから、関心を持って取り組むことができる。そして、何より自然と外野手として必要な基礎技術を身につけることができます。野球の楽しさを知り、コツをつかむ練習方法がもっと普及したら、野球界の底辺拡大にもつながると思っています。

僕は2014年4月から、東京大学の大学院で勉強をしています。研究内容は、「野球のピッチングとバッティングにおける効率的な動作に関する研究」です。

今の指導法の問題点のひとつは、イメージと言葉と実際の動き、この三つのギャップが大きすぎることです。みなさんは、監督やコーチから「最短距離でバットを出せ」とか「上から叩け」とか言われたことがありませんか? でも、スイングを映像で解析してみると、決して最短距離ではバットは出ていないし、上からも叩いていないんです。

選手の競技力を上げるためには、技術指導の言葉を実際の動きに即したものにして、イメージと一体化させていかないといけない。そのために、まずは合理的、効率的な投球フォーム、打撃フォームを求めて、動作解析の研究をしています。また、自分が今まで実践してきた投球理論を科学的に検証したいという、もう一つの目的もあります。

2009年4月から1年間、早稲田大学の大学院でも学びました。ここで修士論文「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」をまとめた際には、先輩や指導者による体罰が、いまだにあるという実態も再確認されました。

以前に比べればだいぶ減ったとは思いますが、それが実情です。上下関係は大切で素晴らしいものですが、指導者や先輩という立場を利用して、絶対に歯向かわない若い選手に暴力を振るうのは、指導なんかじゃない。いじめです。ましてや、大人が子どもに対してやるなんて、じつに卑劣な行為です。

僕も小学生時代、監督やコーチ、先輩に殴られました。当時はそれが当たり前でしたが、僕は「おかしい」と感じていました。体罰を受けたことで野球に活かされたことは、何一つないと言い切れます。マウンドで、バッターボックスで、自分を助けてくれるのは体罰を恐れる恐怖心ではありません。本当に必要なのは自分をリスペクト(尊敬)して自身の競技力をフルに発揮することなんです。

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