桑田真澄さん推薦!ゴキゲンな監督が率いる弱小チームがついに甲子園に?――野球を通じて少年の成長を描いた青春小説の最終章。『どなんまか(3)』 文庫版で登場

「真剣に楽しむからこそ結果もついてくる」

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■推薦のことば   桑田真澄

どまんなか(3)』著:須藤靖貴
税抜価格:700円 ⇒Amazonはこちら

なぜ、僕たちは野球をするのだろう。甲子園出場のため? ちがう。プロ野球選手になるため? そうじゃない。もちろん、それらを目標として頑張ることは素晴らしいこと。でも、決してそれらが目的になってはいけないと思うんです。

では、答えは何だろう。やっぱり、野球が好きだから。そして、「楽しい」という気持ちそのものが野球を続ける本当の目的なのではないでしょうか。

僕はPL学園時代、1年夏から甲子園に五季連続で出場して、1年夏と3年夏、2度も優勝させていただきました。プロ野球の世界でも、巨人軍のエースナンバー「18」を背負って21年間プレーし、通算173勝。メジャーリーグのマウンドも踏ませていただいた。そんな僕が言うと、説得力がないかもしれません。でも、これは本心です。

僕は、みなさんに「野球が好きだ」という思いをいつまでも持っていてもらいたい。それから野球というスポーツを通じて、みなさんに将来、いろんな世界で活躍する人になってもらいたい。大代台高校のナインは、見事に甲子園出場を果たしました。でも、彼らが素晴らしいのは、甲子園に出られたからだけではないんです。甲子園に出場するために、自分たちには何が足りないかを分析し、それを補うためにどんな練習が必要かということを考え、実践したことが素晴らしいんです。

また、練習メニューを決める際も、ミーティングを重ねて、選手たちが納得した形で取り組んでいました。決して、〝やらされる練習〟ではない。楽しいからこそ、つらい練習にも耐えられる。そして、練習メニューにも工夫をこらす。その過程が大切だと思います。

僕の指導歴は、意外と長いんです。巨人時代の2004年秋に、「麻生ジャイアンツ」というボーイズリーグのチームを創設して、会長として中学生を指導してきました(※活動期間を終えて、2013年夏限りで解散)。

それと並行して、2010年には、少年への正しい野球指導を目的として「AMICI DEL CUORE」(※アミーチ・デル・クオーレ=イタリア語で「こころの友」の意味)というNPO法人を立ち上げました。野球界に昔から伝わる猛練習や根性野球といった非合理的、非効率的な練習法に疑問を抱き、新しい指導法の必要性を痛感したからです。

僕は常々、「常識を疑え」と自分に言い聞かせています。特に小中学生を教える際には、野球の楽しさやコツを知ってもらいたい。そのためにも、ちょっとした発想の転換が必要になってくるんです。

先日も、宮崎で小中学生を対象に野球教室をしてきました。その時、ある〝変わった指導〟をしました。手で投げたフライを股の間からグラブを出して捕る練習をしたんです。

最初はうまくいかずに、転んでしまったり、ボールを足に当ててしまったり。それでも、みんな楽しそうにボールを追いかけます。そして、キャッチできた時には、とびきりの笑顔を見せてくれました。