毎日フォーラム~毎日新聞社

政府・与党内で高まる地銀再編の圧力
人口減と地域経済縮小で経営の先行きを不安視[金融]

2014年07月17日(木) 毎日フォーラム
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全国各地の地方、第二地方銀行に、業界再編を促す圧力が高まっている。少子高齢化による人口減少や地域経済の伸び悩みに伴って資金需要が低迷。金利競争も厳しく収益性が上向かず、将来の採算性に不透明さが増していることが背景にある。先行きを不安視する政府・与党内には「再編やむなし」との声が広がる。ただ、地銀側では顧客への影響などから再編に慎重な受け止め方が多く、地銀の将来像をめぐる暗中模索が続いている。

「企業の本業支援や産業再生に必要な機能や経営体力の強化を図っていくよう促す」。政府が6月16日公表した成長戦略の改訂版(素案)は、地域金融機関のあり方に言及した。たとえば海外進出する顧客企業への支援など、必要とされる資質の向上を図る上で対応が不足する地銀には体制の強化を促すという意味を示している。

ある金融庁幹部は、この表現には経営統合の選択肢に含みを持たせていて、「行政が経営判断に直接踏み込みにくいので、地銀再編の必要性を訴える自民党側と調整した『妥協の産物』だ」と解説する。政府・自民党内では、世界展開や事業の多角化で収益向上を図るメガバンクと異なり、地場のビジネスを軸に置く地銀経営の持続性に共通した問題意識を抱いている。

金融庁がまとめた地方銀行、第二地方銀行の14年3月期決算は、本業のもうけを示す「コア業務純益」が約1兆5700億円だった。前年からほぼ横ばいで、2兆円強あった07年3月期と比べると4分の3に減っている。人口減少や地域経済の縮小で企業や個人の資金需要が縮小していることや、金融機関同士の低金利競争で利ざやが稼ぎにくくなっている状況が理由に挙げられる。「貸出利回りの底打ちが見えない」(国内証券アナリスト)ことから、市場関係者の間では地銀同士が再編を手段に収益の改善を図る動きが加速するとの観測が根強い。

金融庁は昨年以降、地銀に対して将来の経営戦略を意識させるよう、検査・監督指針を改めている。昨年9月公表した新たな監督指針では、「5~10年先を見据えた中長期の経営戦略を検討することが重要」と明記。畑中龍太郎長官は今年に入り、地銀関係者の集まる会合で「経営戦略に答えを出す年だ」などと強調している。

また、検査部門には4月以降、全国の地銀をテーマ別で横断的に調べる専門チームを編成。各地銀の頭取らに将来の経営戦略を問いただしていく見通し。担当幹部は「金融庁として経営陣にモノが言える態勢を整えたい」と意気込む。

自民党が5月にまとめて政府に示した成長戦略の提言集では、「(地域金融機関が過剰な)オーバーバンキングの状態との指摘も一部にある」と記載。新規事業への融資の目利きや企業の再生支援などを強化するため、地域金融機関の再編が有力な選択肢だとして、県境を越えて連携する「日本版スーパー・リージョナルバンク(仮称)」の創出を盛り込んだ。

とりまとめ役の塩崎恭久・政調会長代理は記者会見で、地銀再編の成功例として福岡、親和(長崎県)、熊本の3行が傘下の「ふくおかフィナンシャルグループ」を例示。企業再生の取り組みなどを評価し「非常に良い先行例だ。企業は県境に関係なく(事業を)やっているから、(地銀再編は)企業にとってもメリットになる」と訴えた。

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