「小中一貫校」を制度化へ
自治体の弾力的な運用可能に 16年度から実施目指す[教育]

施設一体型の小中一貫校の「校務センター」の様子=茨城県つくば市の「春日学園」で12年4月5日

文部科学省は学制改革の一環で、2016年度にも「小中一貫校」を制度化する方向で検討に入った。戦後続いてきた小学校6年、中学校3年の義務教育の「6・3」の区切りを、各自治体が地域の実情に合わせ、「4・3・2」や「5・4」と弾力的に運用できるようになり、大きな転換になる。来年の通常国会に学校教育法の改正案の提出を目指す。

現行の学校教育法が定める、いわゆる「一条校」は現在、▽幼稚園▽小学校▽中学校▽高校▽中等教育学校(中高一貫校)▽特別支援学校▽大学▽高等専門学校がある。これに「小中一貫教育学校」(仮称)を新たに加える方向だ。

小中一貫校は、校舎、組織、運営が一体となった「施設一体型」や、近隣の複数の小学校と中学校が連携する「施設分離型」などがある。

現在も、東京都品川区や茨城県つくば市、静岡県沼津市、京都市など一部の自治体で導入されているが、「教育課程特例校」や「研究開発学校」といった「特例」扱いで、文科相の指定が必要となる。文科省によると、こうした「特例」校は2013年度時点で、国公私立合わせ全国で960校。制度化すれば自治体の判断で導入できるようになるため、導入校が増えることが期待される。

「中1ギャップ」解消が課題

小中一貫教育を導入する背景には「6・3」制の制度疲労がある。今、中学校に進学した途端、学習環境や学校生活の変化に適応できず、不登校が増える「中1ギャップ」が課題になっている。文科省の12年度の児童生徒の問題行動調査によると、不登校の児童生徒数は、小6が6920人だったのに対し、中1になると2万1194人と約3倍に増えている。いじめの認知件数も小3~小6、中2は2万件前後だが、中1は2万9574件と突出している。そこで、従来の小中の枠を取り払い、円滑な移行を求める声が高まっているのだ。

文科省によると、心身の発達が、6・3制を導入した当時に比べ2年程度早まっていることもある。例えば、男子児童・生徒の体重について1948年と12年を比べると、体重の伸びが大きい時期は48年は14~16歳だったが、12年は12~15歳。女子も「12~15歳」から「11~12歳」に早まっている。

大阪大の調査では、女性の初潮年齢は昭和初期と比べると80年代までには2歳近く早まっているという。文字の読み書きができる年齢も同様だ。50年代までは小学校入学前にひらがなを「ほとんど読めない」子どもが半数近くいたが、絵本の普及や保護者の意識の高まりなどによって、現在は多くの子どもがすでに幼児期に読むことを学んでいる。

こうしたことから、自民党の教育再生実行本部や政府の教育再生実行会議は学制の区切りの弾力化を求め、さらに、義務教育を前倒しして、幼児教育を義務教育化することも検討事項として提言している。しかし、5歳児教育の無償化だけで2610億円、3~5歳児すべてを無償化する場合は7840億円の国庫負担が必要になるため、実現は不透明だ。

一方、小中一貫の制度化についても、小中一貫教育学校と、従来の小、中学校との間で転校した場合の「ずれ」をどう解消するかといった問題もあり、今後、中央教育審議会(中教審)で具体的な制度設計を議論する。

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