牧野 洋の「メディア批評」
2014年07月11日(金) 牧野 洋

セクハラヤジ報道、初動が遅れた背景にある新聞社の「おじさん目線」

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主要紙はなぜ初動が遅れたのか

都議会を舞台にして起きたセクハラヤジ。「性差別が今も残る日本」を世界に印象づける事件になったが、マスコミの対応にも疑問符が付いた。

都議会で質問する塩村文夏(あやか)議員が「早く結婚しろ」などと野次を浴びせられたのは6月18日。しかし翌日朝刊の全国紙を見ると、全国版でセクハラヤジ問題を取り上げたのは毎日新聞だけ。朝日新聞と読売新聞は都内版でこの問題を報じ、日本経済新聞と産経新聞は何も報じなかった。

つまり、セクハラヤジに全国的なニュース価値があると判断した全国紙は毎日に限られたわけだ。主要紙は翌々日の6月20日付朝刊からセクハラヤジを大々的に報じ始めた。インターネット上で議論が巻き起こり、都議会に抗議が殺到したことから、初めて問題の大きさに気づいたのだろうか。

朝日は反省しているようだ。6月27日付朝刊で、元NHK記者でジャーナリストの池上彰氏が書いた辛口のコラムを載せているのだ。ここで池上氏は、朝日と読売の初報は都内版であると指摘したうえで、「なぜ全国の読者に読んでもらう判断が下せなかったのでしょうか」と注文を付けている。外部ライターによる定期コラムとはいえ、朝日は紙面上で誠実に対応したといえよう。

なぜ初動が遅れたのか。池上氏は上記コラムの冒頭で「こんな騒ぎになったのを見て、『こういうことを言ってはいけないのか』と驚いている男性もいたりして。そう考えると、今回の騒動は、世の男性たちへの教育効果があったかも」と書いている。ここに問題の本質があるのかもしれない。

「こういうことを言ってはいけないのか」と驚いている男性はどこにいるのか。池上氏は明示していないが、ひょっとしたらマスコミ内部に大勢いるのではないか。主要紙はいわば「おじさん目線」で紙面を編集しているから、事の重大さをすぐに認識できなかったのではないか。

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