従来の常識を変えた、ファレル・ウィリアムス『ハッピー』の流通戦略
『現代ビジネスブレイブ イノベーションマガジン』---佐々木俊尚「メガチェンジの時代」より

コンテンツがプラットフォーム化した面白い状況

BETアワード2014で最優秀男性R&Bポップ・アーティスト賞と最優秀ビデオ賞を受賞したファレル・ウィリアムス---〔PHOTO〕gettyimages

ファレル・ウィリアムスのヒット曲『ハッピー』のミュージックビデオが世界中でたくさん作られ、話題になったのを覚えていらっしゃるだろうか。これは新しいコンテンツ生成の可能性を予感させる非常に面白い動きだった。

通常、楽曲を他人が無断で利用することは著作権侵害になる。ただしYouTubeでは、無断利用を発見した場合にどうするのかというのは、コンテンツホルダー側の意図に任されている。「音声をミュートする」「閲覧できないよう動画全体をブロックする」「動画に広告が表示されるようにして収益化する」「その動画の再生に関する統計情報を追跡する」という4つの選択肢が用意されており、コンテンツホルダーは自由に選ぶことができる。

『ハッピー』では事実上、楽曲の無断利用が自由に行われており、ファレル側がミュートやブロックの手段を採っていないことから、上の選択肢でいえば「動画に広告が表示されるようにして収益化する」「その動画の再生に関する統計情報を追跡する」のどちらかを選んでいるということになるのだろう。実際、ファレル本人も「もう僕だけの曲じゃない」と、動画の拡散を是認するようなことをインタビューで語っている。

この結果、『ハッピー』という単体の楽曲コンテンツを軸として、さまざまな動画コンテンツが世界中で流通するという面白い状況ができあがってきている。これはコンテンツがプラットフォームになっているという、非常に珍しい形態の情報の流れ方だ。

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