モテる雌ザメの体はズタボロ!? 種を守るサメの驚きの生殖機能
 交尾をしたばかりと思われる雌ザメ KAIZIN山田鉄也氏 撮影

モテる雌ザメの特徴とは

セクシーなサメを目にするようになるこの時期、私は夏の到来を感じる。

魅惑的でモテる雌ザメは外見で一目瞭然。すぐにわかる。

身体のしなやかさや流線美か、それとも瞳の美しさか、はたまた美しい柄のサメ肌に身を包んでいるのだろうか。残念ながらそれらはモテるサメの特徴ではない。

皮膚を不規則に深くえぐられ、サメの特徴である5対のエラ孔がびりびりに破け、胸部から体の側面には複数の大きな傷口があり、一見、瀕死のサメではないかと見間違うほどのズタボロになって泳ぐサメ。耳を疑うかもしれないが、これがモテる雌ザメの特徴だ。

サメは一般的に、交尾をするとき、雄が雌に噛み付く習性がある。つまり、身体に歯形や咬み傷がついている雌ザメは処女ではない。交尾をしたばかりの雌ザメには生々しい傷跡があるのだ。

噛み付きながら交尾をする理由。これには2つの説がある。ひとつは、雌の総排泄孔(サメの場合、排泄物を出す孔と子宮孔が出口部分で連結しており、そう呼ばれる)に交接器(人間で言うおちんちん。「クラスパー」とも言う)を挿入する際、身体を固定させるため。もうひとつは、性的興奮を促すというものだ。

実際に、シロワニを飼育している水族館では、雄と雌の激しい噛み付き行為が度々観察されている。私が学生時代に実習をしていたある水族館では、水温が上昇する時期になると、夕方の閉館時間頃から大水槽がばちゃばちゃとにぎやかになる。大きな音を立てているのはシロワニ。雄が雌を追いかけまわすのだ。もちろん雌にも選択肢があるわけで、雌が反撃して雄を威嚇し、雄が高速に泳いで逃げていくことがほとんどだった。それでも雄は懲りずに何度もチャレンジし、雌に凄まれるといった激しいバトルが繰り広げられていた。

シロワニというサメは、国内では小笠原諸島に生息する。その周辺海域ではダイビングで海に潜り、手の届きそうなくらい近い場所でサメを観察することはさほど難しくない。しかしながら、父島ではダイビング経験者でなくとも、初夏になればセクシーなサメを見ることができる。港から見える浅場に、新しい咬み傷のついた2m前後の雌のシロワニがあらわれるからだ。

私が訪れたその日も桟橋の下に大きな雌のシロワニがいて、昨夜あたりにでも、性的興奮を感じながら交尾に及んでいたのだろうと思わせる大きな歯形の生傷が、雌の体表にくっきりと見えた。

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