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[虎四ミーティング~限界への挑戦記~]
福田正博(サッカー解説者)<前編>「ブラジルW杯、ザックジャパン惨敗の要因」

2014年07月11日(金) スポーツコミュニケーションズ

日本サッカーが進むべき道とは

二宮: 近年、世界のサッカーを牽引してきたスペインもGLで姿を消しました。世界のトレンドはパスサッカーから変わりつつあるようですね。
福田: 実はクラブレベルでは、すでに変わっているんです。欧州チャンピオンズリーグを例にとっても、昨季の決勝はボルシア・ドルトムントと(ジョゼップ・)グアルディオラが就任する前のバイエルン・ミュンヘン。そして今季はレアル・マドリードとアトレティコ・マドリードの対戦でした。いずれも縦に速いシンプルなサッカーが特徴のチームです。バルセロナが一世を風靡したパスサッカーがカウンターで撃沈されていきました。欧州ではそういう流れになっていたんです。そして、代表レベルでもW杯でトレンドの変化が顕著に表れたのです。その意味で、日本はひとつ前の流れを追いかけていたのかなと……。

二宮: 日本が、わずか勝ち点1でグループリーグで姿を消した原因は、そのあたりにもありそうです。
福田: 自分たちのスタイルを追求するのはいいと思います。ただ、自分たちのサッカーを追いかけるだけではダメなんです。いろいろな戦い方ができなければ、継続して勝っていくことはできません。攻撃ではポゼッション、カウンター。守備面では前線からのハイプレス、引いてリトリートしながら守るやり方もできないといけません。90分間で様々な状況が生まれて、それに対応していくのがサッカーです。自分たちのサッカーが“できなかったから負けた”、“できたから勝てた”というのでは、あまりにも深みがないですよ。特に日本は世界的に見れば格下なわけですから、格上を破るためには様々な手段を講じるべきでした。

二宮: 挑戦者としての戦い方ができていなかったと?
福田: そうです。ですから、試合中の引き出しの多さが必要になってきます。たとえばドイツはセットプレーにしても、アイディアを持ってトリッキーなプレーを仕掛けたりしています。強豪も勝利のために創意工夫をしているのです。日本は勝利を手にするためのアイディアに乏しかったですね。

二宮: では今後の日本サッカーはどうあるべきだと?
福田: 日本人選手の体格が急に大きくなることはないので、やはり日本人に合ったサッカーを模索していくべきでしょう。それは攻撃的、守備的うんぬんではなく、“日本人にできるサッカー”です。日本人選手は規律を守れますし、グループとしてのまとまりも非常に強いです。そして俊敏性も世界で通用するものを備えています。そんな日本人の特長を生かしたサッカーは結果的にパスを主体としたスタイルになるのかもしれません。その上で、繰り返しになりますが、引き出しを増やすことも追求していかなければなりません。

二宮: そのための方策とは?
福田: もっと、日本代表として国際経験を積むことに尽きると思います。日本国内で親善試合をやっても、なかなか強化にはつながりません。欧州でプレーしている選手も多いですから、Jリーグを中断してでも、親善試合をアウェーの厳しい環境で行ってみてはどうでしょうか。そうすることで、ピッチ環境、気候も含めて、様々な試合状況を経験できますからね。そして、選手のみならず、日本サッカー界全体のレベルアップも必要だと思います。

二宮: サッカーの総合力ということでしょうか。
福田: 選手のレベルがある程度、世界のレベルに近付いていることは間違いありません。ただ、指導者、メディア、ファン・サポーターも世界の大国に近付いていく必要性があると思うんです。たとえば、過去のW杯優勝国はすべて自国籍の監督が指揮していました。また、おそらくそれらの国ではサッカーがナンバーワンのスポーツでしょう。日本もそういうふうになっていかないと、W杯で勝つのは難しいのかなと感じています。

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