原子力規制委が「泥縄の再稼働」を週内にも決断へ! 福島第一原発事故の教訓は何処に?
福島第一原発事故時に必要性が明らかになった「免震重要棟」。年内の再稼働一番手と目される川内原発に「免震重要棟」が設置されるのは「2015年めど」。泥縄の再稼働ではないのか   photo Getty Images

新聞報道によると、今週水曜日(7月9日)にも、原子力規制委員会(田中俊一委員長)が九州電力の川内原子力発電所1、2号機の再稼働にお墨付きを与える見通しだ。

崖っぷち状態で不意の大規模停電に繋がりかねない今夏の電力需給や値上がりの一途を辿る電気料金、悪化し続ける国際収支、そして排出削減がままならなくなる温暖化ガス問題など山積みの懸案を見ていると、何の展望もないままに、いたずらに原発の運転を停止させておくのは、われわれのくらしと日本の経済を脅かす行為と言わざるを得ない。

しかし、だからと言って、福島第一原発の未曾有の事故の経験を活かそうとしない泥縄式の再稼働に賛成票を投じることもできない相談である。

トータルで見て、果たして今回の再稼働への道筋は合理的なものだったと言えるのか。今一度、検証しておきたい。

行き当たりばったりで混迷極めた3年4ヵ月

東北電力など電力各社による自主的な対策の実施(2011年3月)、旧原子力安全・保安院による「緊急安全対策」の指示(2011年3月)、同院による「シビアアクシデント対策」の指示(同年6月)、菅直人元首相が原発再稼働の条件として表明した「ストレステスト」の導入(2011年7月)、そして原子力規制委員会の発足(2012年9月)と同委員会による新規制基準の施行(2013年7月)…。

東京電力の福島第一原子力発電所が2011年3月11日に東日本大震災の直撃を受けて、国際原子力事象評価尺度 (INES)で最悪の「レベル7」の事故を引き起こして以来、今月で3年4ヵ月あまり。日本の原発政策は、朝令暮改の行き当たりばったりの対応が繰り返され、混迷を極めてきた。

曲がりなりにも再稼働へ向けて一定の方向性が定まったのは、昨年夏、原子力規制委員会が新規制基準を施行してからのことである。

だが、新規制基準への適合性の審査に第1陣で手を挙げた北海道、関西、四国、九州の各電力は、できるだけコストをかけずに、できるだけ早く再稼働に漕ぎ着けたいという姿勢が露骨だったうえ、提出する書類も不備が目立ち、審査は難航した。

特に、規制委員会を苛立たせたとされるのが、原発ごとの耐震の想定値の上限引き上げ問題である。横並びの“談合”体質の電力各社が、個別の判断に基づく対応に難色を示し、共同で研究費などを拠出している電力中央研究所に一括の見直し案を算出させようとしたからだ。

そうした中で、審査開始から8ヵ月を経た今年3月初め。火力発電用の化石燃料の調達コストの高騰による経営の圧迫が顕著だった九州電力が、もはや背に腹は代えられないと、問題の“談合”破りの挙に出た。そして、「他と対応が違う」と規制委の歓心を買うことに成功し、「優先審査」対象の座を勝ち取ったのだ。

期待された電力需要のピークである夏までの再稼働には間に合わないものの、今週水曜日(9日)にも適合性審査の合格証書にあたる「審査書案」が示される見通しで、年内の再稼働が現実味を帯びてくる。

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