防衛・安全保障
北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ

先週1日の臨時閣議で、安倍政権は集団的自衛権の限定行使容認を決定した。これについては、国際法の観点から当然ということを本コラムでも既に書いている(→4月28日付、→5月19日付)。公明党が同調するのも予定通りだ(→5月26日付)。

朝日新聞などは相変わらず反対しまくっている。自衛権を戦争と誤解して思い込んでいるので仕方のないところだが。

朝日新聞大阪本社が開設している「朝日新聞女子組」というツイッターアカウントがある(@asahi_joshigumi)。そこに5日、こんな投稿がなされた。

〈そもそも国連加盟国は武力行使してはダメ。戦争はダメ。それが決まり。だけど、唯一の例外が「個別的自衛権(正当防衛)」。だから、表向きはすべての戦争が「自衛のため」になっています〉

これは知識不足による明白な誤りだ。すぐに指摘があり、

〈さきほど「国連加盟国は武力行使してはダメ。唯一の例外が『個別的自衛権』」と書き込みましたが、「唯一の例外が『自衛権』」の誤りでした。自衛権の中に「個別的自衛権」と「集団的自衛権」があります〉

と訂正された。

このコラムを読んでいれば、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」はともに正当防衛であることがわかる。どうして、訂正で「自衛権(正当防衛)」と書かないのか。いずれにしても、この程度の浅薄な知識しかマスコミは持っていないことが見え見えだ。

北朝鮮崩壊後は韓国が飲み込み、中国と「同盟関係」に

集団的自衛権の問題は、国内だけの観点から議論せずに、国際法や国際情勢から考えなければいけない。先週の3日から2日間、中韓首脳会談が開かれたことにも注目すべきだ。

マスコミでは、安倍政権が山口那津男公明党代表の顔を立てるために6月までの国会開催中の閣議決定を見送ったかのように報じられているが、むしろ、中韓首脳会談の直前にぶつけた公算が高いと筆者は見ている。これは、安倍政権が国内の議論に終始せず、国際関係の中で安全保障を考えているからだ。

中韓首脳会談はこの1年間に5回目という蜜月ぶりだ。しかも、中国の習近平国家主席は、中国の指導者として初めて、北朝鮮より先に韓国を訪れた。これまで中国は北朝鮮の後ろ盾としてサポートしてきたが、そろそろ終わりになるということだ。

北朝鮮は三代目指導者であるが、「売り家と唐様(からよう)で書く三代目」という日本の川柳のようになるかもしれない。中国は北朝鮮に対し石油制裁(対北朝鮮むけ、原油輸出の制限等)をしているといわれ、いよいよ北朝鮮崩壊のシナリオが本格化しているようだ。

この時期に、日朝の拉致問題が急展開していることと、中国の対北朝鮮政策が変貌していることとは決して無関係でない。そして、この北朝鮮崩壊シナリオを、中国と韓国がある程度共有しているからこそ、中韓の蜜月状態があると考えたほうが自然だ。

北朝鮮崩壊後は、ベルリンの壁崩壊後に西ドイツが東ドイツを併合したように、韓国が北朝鮮を飲み込む。ただし、これで中国と接する新たな「韓国」は、中国と「同盟関係」になるということだろう。

しかし、これは今のアジアの安全保障状況を大きく変化させる。

まず現状を整理しておこう。アジアでの安全保障体制は、米国による二国間同盟(日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法など)が基軸になっている(下図)。

ここで、ロシアのことは当面あまり考える必要はない。ロシアは歴史的にも、西で忙しいときには、東(つまりアジア方面)はおろそかになる。かつてのクリミア戦争の時もそうだが、今ではウクライナ問題があるので、極東には手が回らないからだ。

となると、基本的には、米国による二国間同盟と中国の覇権主義の争いになる。中国は、西でウイグル問題を抱えているが、今のところ国力に余裕があるので、東の海洋進出との両面作戦が可能になっている。海洋進出でぶつかるのが、日本、ベトナム、フィリピン、台湾だ。

このうち、日本、フィリピン、台湾には米国との二国間同盟(日米安全保障条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法)がある。ベトナムとの間にはない。

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