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ゼロになって死にたい「0葬」のすすめ【第1部】骨まで燃やしてください 墓はいらない
週刊現代 プロフィール

多くの火葬場では遺骨の引き取りが原則とされていますが、場所によっては引き取らなくても構わないところがある。もともと西日本では部分収骨といって、遺族は遺骨の一部を引き取り、残りは火葬場で処分されるのが一般的です。処分方法はさまざまですが、契約した寺院の境内や墓地に埋めて供養しているところもあります」(島田氏)

だが、自分の存在が死後にまったく遺らない、あるいは大切な人の遺骨が手元にない、というのは、亡くなる人や遺族にとって、受け入れられることなのか。

「もちろん、私はそうあるべきだというのではなく、こういうやり方もあっていい、と考えるのです。

遺骨は霊魂の抜け殻であり、遺骨がないと故人を供養できないというものでもない。それは墓も同じです」

かつては、病気などで若くして亡くなる人も珍しくなかった。また戦争を経験し、身近な人を亡くした人も多かった。近所には寺院や墓地があり、家庭には仏壇があって、霊魂の存在を身近に感じていた。

「しかし現代人にとって、霊魂は『思い出』と変わらないレベルのものになっています。親が亡くなると、子はともかく孫の代には、霊魂、つまり思い出はすでにかなり希薄になっている」

墓や遺骨があるから、故人のことが思い出されるのではない。

やがて自分を思い出す人もいなくなり、会ったこともない子孫だけになったときにまで、自分の存在の跡を遺す必要はない—。

そうして、この世に未練を残さず、すっきりとお別れしてゼロになりたいと考える人が、いま確実に増えているのだ。

実際、「墓なんかいらない」という人たちのための供養の方法も数多く登場している。墓石を建てずに樹木の下などに遺骨を埋葬する「樹木葬」は、その代表例だ。樹木葬を行っている東京都立小平霊園には、数多くの応募が集まる。

「平成24('12)年から『樹林墓地』を整備し、募集を開始しました。平成25年度には1600体を募集し、競争率は9・9倍。従来型の墓地と比べても人気は高いです。平成26年度も1600体の募集を7月1日から行う予定です」(東京都公園緑地部霊園担当)

具体的にはどうするのか。小平霊園の場合、樹林墓地エリアには、コブシやモミジなど8本の落葉樹が植えられている。樹木の間には、深さ約2mの筒が27基埋められており、底は直接、土につながる。ここに遺骨を入れると、ゆっくりと土に還ることになる。最終的には約1万人の遺骨を共同で埋葬するという。

「樹林墓地エリアに立ち入りはできず、献花台からお参りしていただくようになります。樹木はまだ若木ですが、これから大きくなっていくでしょう。費用は13万1000円です」(同課)