【総務 その7】 電波オークションの導入により、電波社会主義から脱し、電波の民主化・市場化を促進せよ!
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笑えないたとえ話をしよう---。日本の首都、東京。ここでは、土地の配分が政府の裁量の下で行われている! さらに、土地の転売も認められていないため、土地の流動性は極めて低く、明治時代に土地を入手した人がいまだにその土地を所有し続けている。

地代は市場価値を無視し、政府の裁量できわめて安く設定されているため、ある人は東京で牛を飼い、ある人は田んぼを作り、ある人は一年に一度だけ使う別荘として使っている。地代が安いので、そこで利益を生み出していなくても、所有者にその土地を手放すインセンティブは生じない。本来なら、東京では、1年間に約85兆円という世界最大の富を生み出すことができるはずであるのに、だ。

・・・もちろん、たとえ話である。しかし、このようなことが実際に起こっていたらどうだろうか。当然、普通の人ならこう考えるだろう、「東京の土地も自由経済の原理に従って流通させるべきだ」と。

土地に関しては、このような市場原理を無視した権利分配制度が日本で行われるはずはない。しかし、土地資源とよく似たある財に関しては、このようなことが今でも行われているのだ。それが「電波」である。

電波は莫大な経済的価値を生み出す国民の財産であるといってよいだろう。しかし、日本では、つながりやすく付加価値の高いUHF帯やVHF帯においても、アマチュア無線、列車無線、消防無線、警察無線、防災行政無線など、利用頻度の低い利用者に利用させているなど、電波を無駄使いしているのが現状だ(もちろん、防災行政無線等の重要性を否定するつもりはないが)。

ICTのコアインフラであるにも関わらず、いまだに社会主義的配分政策がなされている日本の電波の市場化を早急に実現すべきである。この行動では、ICTのコアインフラである電波に関して、執筆することにする。

1. 電波に市場原理を導入せよ!

電波は、いまや我々の生活になくてはならないものとなっている。テレビやラジオにとどまらず、携帯電話やインターネットでも、車を運転するときも、スーパーのレジで会計をするときも、電波が使われている。いまや携帯電話の契約者数は人口を超えて約1億4千万人、スマホの世帯普及率も54.7%と5割を超えた。

モバイルに加え、自動車のITSやスマートグリッドのM2M(マシンtoマシン)など、さらには最近では、モノのインターネット(Internet of Things)と言われ、体重計さらにはゴミ箱のようなICT以外の機器にも無線が使われる時代になった。

今後も電波によるワイヤレスネットワークの需要は拡大していくことは確実だ。ICTは今後ますますモバイル、ワイヤレスの時代に移行する。そのコアインフラとなるのが、電波だ。

電波は、携帯電話等の電気通信産業だけでも16.5兆円、テレビなどの放送産業だけでも4兆円の価値を生み出し、情報通信産業全体ではその市場規模は82.7兆円に達している。さらに、欧州各国が3G携帯電話に用いる周波数オークションを実施した際の落札価額は、総額で1,500億米ドル(15兆円)以上にも及んだことはよく知られているだろう。

これほどの市場価値を持つ電波に関して、日本の政府が徴収している電波使用料は年間約750億円にとどまっている。さらに、冒頭で述べたように、付加価値の高いUHF帯やVHF帯においても、アマチュア無線、列車無線、行政無線など、利用頻度の低い利用者に利用させている。なぜか。それは、日本の電波行政がいまだに社会主義的配分政策を行っているためだ。

日本では、電波は、電波法によって規制され、周波数分配については、同法に基づく周波数割り当て計画によってなされる。つまり、現状では、総務省電波局による裁量行政によって、周波数の割当がなされているのだ。さらに、現行の電波利用料制度は、平成5年4月に導入されたものだが、無線局免許人から毎年徴収する手数料的なものとして、電波の市場価値をまったく無視した利用料設定がなされている。

電波利用料額は、無線局の種別等に応じて10区分(放送局、基地局、人工衛星局、包括免許〔携帯電話等〕等)に分類し、無線局ごとに課されるため、総額約750億円の電波利用料のうち、無線局を極めて多く設置する必要がある携帯電話会社が7割以上を負担することになっている。

日本の現行制度の問題点は、

1)分配方法に関する市場原理の欠如 - 電波を効率的に使用することが可能なユーザーに電波を分配する仕組みができていない。
2)電波利用料に関する市場原理の欠如 - 電波利用料が電波の市場価値に比べて極めて低廉であるため、非効率的電波ユーザーに対して市場退出インセンティブがかからない。

ことであると言えよう。

このため、電波に対する需要は極めて大きいが、使用できる電波が足りない、という深刻な電波不足に陥っているのだ。しかし、それは電波の絶対量が不足しているのではない。非効率な電波利用者が温存されていることが原因なのだ。

テレビ放送は4兆円産業だが、そのマーケットがたった数社のテレビ局によって寡占されていながら新規参入者は数十年出てきていないのも、携帯電話は市場規模が11兆円を超え、各社とも1兆円オーダーの利益を生み出すマーケットだが、たった3社によって寡占されているのも、市場原理に基づかない排他的な現行制度が、新規参入者を締め出し、既得権益保持者を保護してきたためであるといえよう。

解決策は明らかだ。それは、「電波の市場化」である。電波も土地と同じように市場化すべきだということだ。「購入」を市場原理に任せる「周波数オークションの導入」、土地と同様、価値の高い帯域は高いレント(賃料)を支払う「電波利用料の差別化」である。

市場原理を導入すれば、非効率ユーザーは退出せざるを得ず、電波を最も効率的に活用できるユーザーが適正な対価を支払って電波を使用することが可能となり、電波が本来持つ経済効果を発揮し、経済の活性化に大きく寄与することができるだろう。

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