野球
二宮清純「江夏豊9連続三振、43年目の真実」

 オールスターゲーム史に残る名シーンと言えば、1971年の第1戦をあげないわけにはいきません。7月17日、舞台は西宮球場でした。全セの先発を務めた江夏豊さんはパ・リーグのバッター相手に史上初の9連続奪三振を達成します。オールスターゲームのことを米国では「ミッドサマー・クラシック」と呼びますが、まさに真夏の夜の奪三振ショーでした。

左対左、謎の采配

 9連続奪三振の9個目、すなわち大記録達成の当事者となったのが代打で登場した阪急の主砲・加藤秀司さんでした。加藤さんにとっては、初めてのオールスターゲーム。よりよって、その初打席でした。

 もう今から43年前の話ですが、ひとつ疑問があります。パ・リーグからすれば、ある意味、不名誉な大記録達成の場面で、なぜサウスポーの江夏さんに対し、左バッターの加藤さんを代打に送ったのでしょう。もし記録を阻止したいのなら、バットコントロールのいい右バッターを代打に起用するのが筋です。

 実際、ベンチには池辺巌さん、大下剛史さん、高橋博さんら、うるさ型の右バッターに加え、三冠王の実績を持つ野村克也さんも控えていました。いくら西宮球場が加藤さんの本拠地とはいえ、左対左が不利なのは誰の目にも明らかです。