業界最安値の医療用ウィッグでイノベーションを起こす!---NPO「ふくりび」赤木さん、岩岡さんに訊く「福祉理美容」最前線【後編】

【前編はこちら】

業界最安値の医療用ウィッグでイノベーションを起こす

イケダ: 医療用ウィッグの事業、すごい面白いですよね。ちょうど最近、クラウドファンディングも始まりました(医療用ウィッグ写真集を発行し、全国のがん拠点病院へ寄贈したい)。これ、かなりお安く高品質なんですね。

岩岡: 大手のメーカーさんだと15〜30万円くらいしますね。ウィッグの違いは髪質なんです。人毛か人工毛で値段が変わります。15万くらいのものだと、どうしても髪質が悪かったりしますね。

イケダ: それが6万円から買えるわけですね。コストイノベーションですねぇ。

岩岡: 商品もパンフレットも色々取り寄せましたが、結局のところ、広告費とか場所代なんですよ。当たり前といえば当たり前で、デパートに出店していたら高いはずじゃないですか。医療用かつらって、じっくり比較して購入する商品じゃないんですよ。病気で弱っていて焦っていて、そういう中で買ってしまう。だから、コストが高かったという構造があるんです。そうやって売ってきた業界なんです。

イケダ: なるほど・・・。

岩岡: 必要になるときまで、ウィッグの良い悪いなんてわからないじゃないですか。本来は、病気になる前からウィッグについて知っていたり、近くにいる髪のプロ、つまり美容師が知っているのがよいわけです。

なので、私たちのウィッグは美容室で買えるように、そこで切れるようにしています。かっこよくて安価で高品質なウィッグを、普通の美容室で普通に売ろうというコンセプトなんです。

「個室じゃないと医療用ウィッグは切れない」という考え方もあるようですが、医療用ウィッグは髪が抜ける前に探す人が多いので、個室にこだわる必要はありません。

また、小さい美容室だったら営業時間外に対応することもできます。お客様がいたとしても、トイレで試着して出てきて、そのまま切ってもらえばいいわけです。個室がなくても、医療用ウィッグは対応できるんです。ですが、多くの美容師さんはできないと思われているんです。病気のことがわからないとウィッグを切っちゃいけない、と思い込んでいたり。

イケダ: 医療用ウィッグはニーズはあれど、課題が多い商品なんですね。

岩岡: ニーズという点でいうと、乳がん、子宮がんの薬は、脱毛の副作用が一般的に強いんですよね。生存率が高いがんなので、病後も働きつづけるケースが多いんです。そういうとき、ウィッグが必要になってきます。髪がないと、自信もなくなってしまうんです。

私も昔から髪が抜けたらどうしようと思っていたんです。ちょっと極端ですが、「抗がん剤の副作用で髪が抜けるくらいなら、いっそそのまま死にたい」という変な美徳を持っていたんです。それくらい嫌なんです。

仕事のなかで色々な医療用ウィッグかぶりましたが「これはバレるでしょ」というものが多いんです。毛量や生え方が不自然で・・・。かつらだということがバレると、病気だということもバレてしまうじゃないですか。医療用ウィッグは、誰にもバレないくらい自然でなきゃいけないんです。

高いし、ダサい。バレてしまう。これではいけないと思って、このウィッグを作り始めました。

イケダ: 超熱い! これはイノベーションですねぇ。具体的にはどういう工夫があるんですか?

赤木: 裏地も毛量も調節して、自然に見えるように工夫しています。頭頂部も自然です。

岩岡: 販売でいうと、美容室が在庫を持たなくて良いように2種類にしています。

イケダ: おぉ、2種類しかないんですか。

岩岡: 今までのウィッグは、メーカー主導で美容室を加盟店にしていきまいた。構造でいうと、メーカーが強いんですね。でも、ウィッグは化学繊維が 入ってくると染めることができないんです。そうすると、たとえば「10色ラインナップ」で在庫を置かないといけないんです。導入のハードルがあるんですね。

赤木: うちのウィッグは人毛なので、この間の色を染めることができます。パーマもかけられます。2種類のみでも、フレキシブルに対応できます。

この方が、美容師さんも面白いじゃないですか。普通のメーカーのウィッグは、最初から形がきまっているんですね。これはイチからつくるので、美容師の腕次第でどんな髪型にもなるんです。自分がいつも通っているお店があれば、髪を失ったとしても、前の髪型を再現することができます。

イケダ: すばらしいです。ここまでやって、安いんですもんねぇ。

岩岡: 闘病中の30代、40代はお金も必要なのでなるべく安く、自然なものを提供したいです。15万円くらいでやっているサロン、メーカーさんが多いんですが、質は必ずしもよくなくて・・・。

私たちは、普通にウィッグを売りたいんです。当たり前に買って、当たり前に切ってもらう。かつらになっても、誰も心配しなくていい世の中になるわけです。そこの悩みをなくしてあげたいんです。もう商品もありますし、美容室というインフラもあるので、あとは広げていく段階です。

イケダ: 普及していくでしょうね、これは。クラウドファンディングも成功を祈ってます!

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