The New York Times

トーマス・フリードマン---【広場の人々 VOL.02】民衆の声は政治を変える真の力になり得るのか?

2014年07月07日(月) トーマス・フリードマン
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広場に向かうウクライナのデモ隊〔PHOTO〕gettyimages

政治と地政学をくつがえすドラマ

破たんした結婚とチャールズ皇太子の不倫について、1995年にダイアナ妃に対して行った有名なインタビューのなかで、彼女は「この結婚には人が3人いて、少々混み合っていました」と語った。

最近、「広場の人々」(The Square People)が創り上げた新しい政治と地政学を説明するときに、私はこの言葉を思い出す。「広場の人々」とは、自分たちの声を将来に向けてより反映させるとともに、よりよい統治を求めて、カイロからキエフ、イスタンブール、テヘラン、チュニス、モスクワにいたるまでの広場に集まる、新たに結びついた中流階級のことである。

多くの指導者たちは、「広場の人々」は自分たちと、かねてから存在する大した力もない野党との間に、自然発生的に出現した第三党のようなもので、その結果として、政治がより混み合っていることに気がついている。と同時に、政治がよりおもしろくもなっているのだ。事実、新しくネットワーク化された政治勢力が結集し、協力しながら変革の圧力をかける場所という意味での「広場」は、間違いなくこれまでの政治と地政学をくつがえしつつある。

しかし、今後注目すべき重要なことは、どの広場の人々が、破壊から建設へと向かうことができるのか、ということだ。つまり、「広場の支持者たちの混沌としたエネルギーを、誰が政党や選挙、統治へと転換していけるのか」ということである。もちろん、こうしたなかで、いまもっとも興味深い動きとしては、ウクライナの広場の人々とロシアのウラジミール・プーチン大統領が繰り広げているドラマであろう。

プーチンの発想を超えた「広場の人々」の動き

ヤヌコーヴィッチ元大統領〔PHOTO〕gettyimages

プーチンは、自身の腐敗したビジネスの対応に追われる一方で、それに輪をかけて腐敗している、親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が率いる、隣国のウクライナとの二者関係を維持してきた。

ところが突然、腐敗した政府がEU(欧州連合)の近隣諸国から大きくおくれを取ったことに業を煮やした向上心のあるウクライナの中流階級が、社会の下方から自然発生的に台頭し、お互いに結託して、EUとより緊密な協力関係や取引関係を築くようヤヌコーヴィッチに迫ったのだ。それと同時に彼らは、どの広場でも共通する要求――つまり、ロシアの新興財閥や国外勢力にもてあそばれるのではなく、権利と義務を持つ「市民」として扱われる権利を要求した。

この要求に応じる代わりに、ヤヌコーヴィッチがロシアとの経済関係を強化したため、キエフの広場の人々は、彼を大統領の座から引きずり降ろし、KGB(ソ連国家保安委員会)仕込みのプーチンの世界観のあらゆる面に対して異議を唱えたのだ。

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