オルタナティブな若者たち
2014年07月03日(木) 池田真隆

自然栽培プランターで仮設住宅と社会をつなぐ、気仙沼出身の20代兄弟

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プランター事業の説明会に参加した住民たちと、三陸野菜の畠山享・代表(写真後列右端)と畠山卓・事務局長(前列右端)

東北の太平洋岸にあたる三陸地方の仮設住宅にプランターが配布されている。住民たちは、そのプランターで、無肥料・無農薬で野菜を育て、収入を得る。食を通じて、社会とのつながりを生み出す仕組みをつくっているのは、気仙沼で育った20代の男兄弟だ。

畠山享さん(29・慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程4年)は2014年3月、弟の卓さん(26)と一般社団法人三陸野菜(宮城・気仙沼市)を設立した。カタールフレンド基金から支援を受け、気仙沼市や南三陸町、陸前高田市など三陸地方の仮設住宅に住む人々にプランターを無料で配布している。

近隣の学校で説明会を開き、これまでに500の仮設住宅に配布した。受け取った住民たちは野菜を栽培し、自家消費する分以外を三陸野菜が買い取り、加工・販売する仕組みだ。インターネットでのECサイトで販売する以外にも、地元スーパーや企業の社員食堂などにも販路を増やす。

スーパーとは現在交渉中だが、大手繊維メーカーの社員食堂に買い取ってもらえることがすでに決まっている。栽培しているのは、トマトだが、特徴的なのは、無肥料・無農薬での自然栽培に取り組んでいる点だ。

自然栽培とは、著書『奇跡のりんご』(幻冬舎文庫)で知られる木村秋則氏が提唱したものだ。弟の卓さんは、その栽培方法を習い、仮設住宅の住民に教えている。環境にも良いが、有機よりも腐りにくいので、保存期間が長持ちすることも利点の一つだ。

さらに、プランター自体にもこだわった。地元・南三陸杉の間伐材を使っている。この杉に、ドイツ製の自然塗料を塗り、杉の呼吸を妨げることなく保護している。プランターで栽培したトマトの収穫時期は夏以降で、そこから一般販売が始まる予定だ。

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