「安倍成長戦略」実現は疑問だらけ。
崖っぷちの電力にほっかむりして
「株価つり上げ(PLO)」優先するむなしさ

6月24日の会見で「日本再興戦略」を安倍首相は自画自賛したのだが・・・

安倍晋三政権は先週(24日)の臨時閣議で、アベノミクスの目玉である「成長戦略」の『「日本再興戦略」改訂2014 ― 未来への挑戦』を閣議決定した。改革のポイントは10項目に整理されており、その中には「コーポレートガバナンスの強化」や「外国人材の活用」のように、大いに期待したいものも含まれている。

しかし、全体を通してみると、安倍首相の自画自賛とは裏腹に、依然として改革を目指す項目の羅列に終始しており、本当に実現できるのか疑問符を付けざるを得ないものが少なくない。

経済運営の喫緊の課題に目を向けると、「この夏も崖っぷち」とされている電力の安定供給問題にほっかむりする一方で、株式市場の「PLO」(価格つり上げ策)に躍起になっているのが実態だ。これでは、実態を覆い隠し、政権の経済運営の成功を演出するための改訂と批判されてもやむを得ないのではないだろうか。

安倍首相は自画自賛、市場は「失望売り」

24日の臨時閣議後、首相官邸で18時半から開いた記者会見で、安倍首相は、自身の成長戦略をこれ以上の褒め言葉はないと言ってよいほどの調子で、自画自賛した。冒頭で、「本日、その成長戦略を大胆にパワーアップしました」と切り出すと、「安倍内閣の成長戦略にタブーも聖域もありません。あるのはただ一つ、どこまでもやり抜く強い意志であります」と胸を張ったのだ。

そのうえで、具体策にも言及して、「岩盤のように固い規制や制度に果敢にチャレンジしました。多様な働き方を実現する労働制度改革や能力ある外国人材の活用に踏み込みます。60年ぶりに農協の抜本改革を断行します。医療でも患者本位の新しい制度を導入します。国家戦略特区も規制改革のメニューをさらに増やし、速やかに実行に移してまいります」と宣言した。

ところが、政権支持率と並んで、安倍政権がその動向に神経質になっている株式市場の翌日(25日)の反応は、冷ややかなものだった。日経平均株価が、前日比109円63銭安の1万5266円61銭と、3日ぶりの反落になったのである。

加えて、証券取引所の商いそのものも大きく減少、東証1部の売買代金(概算)は、1兆6325億円とほぼ2週間ぶりの低水準にとどまった。

株式相場の世界では、新しい政策や企業業績の好転を期待して、あらかじめ株式を買っておく。実際に好結果が出たら、それ以上の買い材料はないと判断する投資家が多く、結果として、売りものがちになり相場が下げるケースが珍しくない。

こうした株価形成のパターンに「材料出尽くし」の相場という名前が定着しているほどだから、今回の『「日本再興戦略」改訂2014』を受けた相場も、「材料出尽くし」だったと取り繕えないことはないかもしれない。

しかし、安倍政権の成長戦略の発表と言えば、「材料出尽くし」というよりは、「中身が期待外れ」として失望売りを呼ぶのが常だ。

日経平均株価が発表日から2日間で227円下げた「成長戦略の当面の実行方針」(昨年10月1日、日本経済再生本部決定)や、同じく2日間で411円下げた「産業競争力の強化に関する実行計画」(今年1月24日、閣議決定)のケースは、あまりにも記憶に新しい。

そして、今回も肝心の中身を見ていくと、これら2つの前例と同じように失望売りが先行したのは明らかだ。ただ、「期待外れ」なのは「期待通り」なので、それほど失望売りが多くなかったという感はある。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら