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デキる社員は「魚の食べ方」で分かる 知られざる世界1位の日本企業は採用も社訓も一味違う
週刊現代 プロフィール

このことで、「中小企業に入社して貧乏くじを引いた」と感じていた社員の気持ちがガラッと変わった。

朝から晩までタマ洗い

「排ガス計の件でもそうでしたが、社員の自由な発想が会社を成長させてくれるんです。我が社の社是を『おもしろおかしく』と掲げているのも、そうした思いからです。社員には『出る杭は打たれるかもしれないが、出過ぎた杭は打たれない。出方が少ないから叩かれるんだ』と話しています」

堀場氏は、社員のやる気を起こさせるために、さまざまな工夫をしてきた。いち早く週休2日制を導入し、25年以上前に月1回の週休3日制を採用している。また、社員の福利厚生は社内の厚生部ではなく、別会社が担当している。「社内で片手間にやっていても、本気の福利厚生サービスなどできっこない」と考えるからだ。

これも社員が「おもしろおかしく」仕事ができるようにという配慮だ。世界シェア8割という驚異の数字は、このようにして培われた社員の発想力に支えられている。

「おもしろい」という気持ちを大切にすることで、たった6人の町工場からノーベル賞級の研究を支える企業に成長した例もある。光センサーの分野で世界をリードする浜松ホトニクスだ。

同社は、光を検知する光電管の世界シェアの6割を握っている。その技術は血液検査や環境分析、バイオ分野など多様な分野で利用されており、売り上げは年間1000億円を超える。

とりわけ注目されるのは、小柴昌俊東大名誉教授がノーベル物理学賞を受賞するのに多大な役割を果たしたニュートリノ検出器スーパーカミオカンデの光電管を受注していることだ。また、昨年のノーベル物理学賞を受賞したピーター・ヒッグス氏が提唱していたヒッグス粒子の発見にも一役買っている。欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器にも同社の技術が使われているのだ。つまり、同社の技術がなければ、ニュートリノも「神の粒子」と言われるヒッグス粒子も観測できなかったことになる。

同社の事実上の創業者である晝馬輝夫会長は、素朴な気持ちで「なぜ?」を突き詰めることが、未知の分野を開拓する上で最も大切なことだという。

「子供の頃、面白いと思ったことを『どうして?なんで?』としつこく聞いて、親や先生を困らせたことがあるでしょう。これこそが真理を求める心なんです。そういう心がなければ、未知未踏の問題にチャレンジなんてできっこありません」

新しい問題に取り組むことができるかどうかは、学歴とは関係ないと晝馬氏は言う。