賢者の知恵
2014年08月05日(火) 週刊現代

デキる社員は「魚の食べ方」で分かる 知られざる世界1位の日本企業は採用も社訓も一味違う

週刊現代
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誰もがその名前を知っているような会社ではないが、世界市場でトップシェアを誇る—そんな企業が日本にはいくつもある。一風変わった社風で、独自の道を突き進む彼らの「秘密」に迫った。

社長にしかられてもやる

「社長の決定に反して、勝手な研究をするなんてけしからん!」

堀場製作所の初代社長堀場雅夫氏は、そうやって一人の社員を怒鳴りつけたことがあったそうだ。

「昭和30年代後半、自動車の排ガスが大きな社会問題になり始めていた頃のことでした。通産省(現経産省)の研究所から、『肺機能分析計を使って車の排ガスを測る実験をしたい』という申し出があったのです。しかし私は、〝神聖な〟医学用の機械を転用するのは気が進まず、この話を断っていました」(堀場氏)

ところが、一人の若手技術者が社長に隠れて、こっそり排ガス計の研究を続けていた。社内で見慣れない機械を見つけた堀場氏は、その社員を問い詰め、冒頭のように怒鳴りつけた。このとき大目玉を食らった男が、二代目の社長になる大浦政弘氏である。

「私がしかりつけたのですが、大浦は逆に『これは必ず社会の役に立ちます』と切々と訴えてきました。常々『社員の自由な発想を尊重する社風』を掲げてきたので、私としても渋々、研究の継続を認めざるを得なかった」(堀場氏)

それから10年後、大浦氏が開発した排ガス測定装置はどこの自動車メーカーの製造ラインにも置かれるようになり、堀場製作所の売り上げの40%を占める大ヒット製品になった。同社は現在も、排ガス計の世界シェア8割を握っている。

日本には、トヨタやキヤノンといった誰もが知る世界的な企業がたくさんある。だが同時に、一般にはそれほど知られていないが、群を抜く技術力で他社を圧倒し、世界市場でトップシェアを獲得している企業も少なくない。それらの企業は、潤沢な資金で研究開発を進めるわけではないが、一風変わった社風でユニークな技術力を培ってきた。

彼らは、どのような戦略でトップシェアを獲得したのか。日本経済を支える「底力」はどのように生み出されているのだろう?

冒頭の堀場製作所は、いまでこそ東証一部上場の大企業だが、元は戦後間もなく京都で設立された「学生ベンチャー」だった。名もない中小企業には京大生などのエリートは関心を示さず、苦労した堀場氏は一計を案じた。

「社員各自が仕事で取り組んでいるテーマで、博士号を取れるようにしたのです。『博士論文にならないような仕事に独創性はない。いまやっている仕事で博士号をとろう』と呼びかけました。やりたいことをやって学位がとれれば、それに越したことはありませんから」

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