トーマス・フリードマン---【広場の人々 VOL.01】ネットワークの力で新世界を切り開く「民衆の時代」がやってきた!
キエフの「広場の人々」---〔PHOTO〕gettyimages

動きはじめた新潮流の人々

【ベトナム、ハノイ発】
これからは、キエフからハノイへもっと頻繁に行くことになるだろう。一見関連のなさそうなこの2つの場所に訪れて、初めて世の中の大きな流れが見えてくる。そうやって気づいた大きな流れのひとつは「広場の人々」の台頭だ。

ハーバード大学の政治学者のサミュエル・ハンティントン(1927年―2008年)が2004年に、世界のスーパー階級「ダボス人」の出現について書いた。「ダボス人」とは、ダボス世界経済フォーラムに出席する人たちを指し、ハイテク、金融、多国籍企業、学界、NGOなどから招かれた、超国家的な国際エリートたちのことである。

ダボス人は「国への忠誠心の必要性はあまりなく」、自国民よりも、彼らお互い同士のほうが多くの共通点をもっている、とハンティントンは指摘した。そして彼らは、市場の新しいグローバル化や情報技術の恩恵を、一般の人よりもはるかに多く手に入れるスキルを持っていた。

それから10年後の現在、IT革命とグローバル化が万人にいきわたり、エリートだけしか持てなかったノートパソコンから、誰でもスマートフォンが持てる時代へ、ダボスに出席できる一握りの幸運な人たちのネットワークから、すべての人が使えるフェイスブックの時代へ、さらに、金持ちの発言だけが権力の場で反映される時代から、どんな人でも指導者にツイッターで異議を唱えられる時代へと変化し、新しいグローバルな政治力が生まれつつある。これは、ダボス人よりも大規模で、より重要な力だ。これを私は「広場の人々」(The Square People)と呼ぶ。

彼らの多くは若く、生活水準の向上と、より多くの自由を目指して、改革や革命を求めている(既存の政府によってその対処は異なる)。彼らは、現存する広場やバーチャルの広場、あるいはその両方に集まってつながり、共通の計画のためにというよりも、むしろ、社会に望む方向性によってつながっている。今日では、チュニス、カイロ、イスタンブール、ニューデリー、ダマスカス、トリポリ、ベイルート、サヌア、テヘラン、モスクワ、リオ、テルアビブ、キエフの広場のほかに、サウジアラビアや中国、ベトナムのバーチャル広場でそうした人は見られる。

最後の3つの国はいずれも、フェイスブックやツイッター、Youtubeに、中国ではそれに相当するネットワークに大量のユーザーがおり、すべてを通して大勢がつながり、変化を推し進めたり、権力に異論を唱えたりできるバーチャルな広場を創り上げている。

ベトナムでもっとも人気のあるブロガーのグエン・クワン・ラップのフォロワーは、政府が国内で発行しているどの新聞よりも多い。サウジアラビアのもっとも人気の高いハッシュタグのひとつは「王様に会ったら、こう言いたい」だ。

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