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医療界のタブーに切り込め! ノバルティス社 本当の捜査はこれから始まる——医者も外国人社長も逮捕されるのか

正直に、普通の血圧の薬ですと言えば、何の問題もなかった。だが医学界と製薬業界の癒着が真実を歪め、ありもしない効能がひねり出された。腐敗の本丸はどこなのか。闇の中をのぞいてみると—。

財務省まで激怒した

「……逮捕者が白橋さん一人で終わるわけがない。あの人はただの現場の営業担当者で、2億円も3億円も大学におカネを入れる決定権なんかありませんよ」

6月11日、スイスに本社をおく外資系製薬会社ノバルティスファーマ(以下、ノ社)の元社員、白橋伸雄容疑者(63歳)が、薬事法違反で東京地検特捜部に逮捕された。本誌の取材に、ノ社の関係者は言葉少なに語った。

「研究にかかわった先生方をはじめ、当時の白橋さんの上司や、三谷宏幸元社長に捜査の手が及んでも仕方ないと思います。

白橋さんの上司にあたる元営業本部長は、いまは同業他社の社長におさまっています。今後、製薬業界のあちこちで逮捕者が出てくるのではないでしょうか」

製薬業界全体に激震を走らせたノ社事件。そもそも、どういう問題だったのか。その概要は以下の通りだ。

〈高血圧の患者などに使われる降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の研究に、販売元であるノ社の元社員が不正に関与。データを操作して、同薬に血圧を下げる以外にも脳卒中や狭心症のリスクを下げるなど、別の効能もあるように見せかけ、研究者らに論文を発表させた。また、その論文を使って同薬の宣伝を行ったため、薬事法違反の誇大広告に当たった〉

要するに、ディオバンには、高血圧の薬としての効果はある。だが、そこにオマケとして、脳卒中や狭心症になりにくくする効果もあります、とウソの薬効が宣伝されたということだ。

同じ高血圧の薬を処方するなら、他にも効果があるものがいい—。

ディオバンは、たちまち国内で年間1000億円を売り上げる大ヒット商品となった。

「この事件には、実は財務官僚たちが激怒しており、製薬業界は今後、徹底的に叩かれる可能性がある。

ディオバンはこれまで累計で1兆2000億円を国内で売り上げました。医薬品の売り上げというのは1~3割の窓口負担以外は医療保険から支払われます。しかし高齢化で財源が不足し、毎年国庫から2000億円も穴埋めしている状況。ディオバンはまさに税金で儲けたことになります。