賢者の知恵
2014年07月10日(木) 週刊現代

診断結果は「正常」、生まれた子供は「ダウン症」で賠償金1000万円「出生前診断」で間違えた医者の責任をどう考えるか

週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

「検査結果は異常なし」。医師からはそう告げられた。でも、生まれてきた我が子はダウン症を患い、3ヵ月でこの世を去った—出生前診断の告知ミスをめぐる国内初の訴訟で、ついに判決が下された。

「息子に謝ってほしい」

「私たちは息子が受けた苦しみに対して、ミスをした遠藤先生本人から謝ってもらいたいと思って訴えを起こしたんです。

確かに、もし告知ミスがなければ、あの子は生まれてこなかったかもしれない。でも一度生まれてきた以上は、痛くて泣いている我が子に、何かしてやりたいというのが親として自然な気持ちではないでしょうか。

ですから、賠償金が全額認められた一方で、『亡くなった子供に対して慰謝料を支払う義務はない』という判決が下ったのは残念です。たとえ私たちへの賠償金が減ったとしても、遠藤先生には一言、息子に対して謝ってほしかった」

こう語るのは、北海道北斗市に住む太田紀子さん(仮名、44歳)だ。

さる6月5日、太田さん夫妻を原告とする、出生前診断における「告知ミス」をめぐる訴訟で、函館地裁が判決を下した。国内初の判例となるその内容は、医師に計1000万円の賠償金を支払うように命じる厳しいものだった。

高齢出産が増えるとともに、急速に普及しつつある出生前診断。昨年春に始まった新型出生前検査では、お腹の胎児に先天的な異常があると知った妊婦のうち、9割以上が人工妊娠中絶を選んだというショッキングなデータも発表されている。

新たな医療技術には、つねに医療ミスが付きまとう。そしてそれが妊娠・出産にかかわる場合、ときにきわめて重く、複雑な問題を引き起こすこともある。太田さん夫妻に降り掛かったのは、まさにそんな難題だった。

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