サッカー
二宮寿朗「W杯で見た“気迫”という原点」

ワールドカップ会場のメディアセンターの中に入ると、至るところにテレビが設置されている。しっかりと台数を数えたことはないが、どの席に座ろうとも映像をチェックすることができる。ここにいれば1日の試合をすべてチェックでき、スタメン表や結果も用意されているから申し分ない。

現地時間19日の日本―ギリシャ戦の会場となったナタールのスタジアムも、試合開始は19時だというのに、昼過ぎから非常に混み合っていた。というのも13時から日本と同グループのコロンビア―コートジボワール戦があったからかもしれない。

序盤からハイペースでお互いが勝利にこだわったこの試合も十分に見応えがあったが、16時開始のグループD、イングランド―ウルグアイ戦も目を離す隙のないスリリングな展開が続いた。両チームとも初戦を落としていて、ここで負けてしまえばほぼ脱落を意味する。意地と意地のぶつかり合いが、激しいファイトを生み出していた。

ウルグアイに勝利を呼び込んだペレイラ

後半16分、思わず映像にかじりついてしまったシーンがあった。

ウルグアイの左サイドバック、アルバロ・ペレイラがボールを奪いに向かった際、イングランドMFラヒーム・スターリングのひざをまともに顔面に受けた。カウンターの“ひざ蹴り”を受けた形で、ペレイラはそのままピッチに倒れこんでしまった。

ストレッチャーを使ってピッチの外に出され、メディカルスタッフもベンチに交代を要求する。ようやく立ち上がってもフラフラしていて、脳震とうの疑いがある以上、メディカルスタッフの判断としたら当然、交代だろう。しかし、ペレイラは制止するメディカルスタッフを押し切ってまで、強引にピッチに戻っていったのだ。

観客は驚きの声を上げるとともに、惜しみない拍手を彼に送った。

その後、ペレイラの左サイドをイングランドに狙われた感はあったが、彼は時間の経過とともに復調していくとアグレッシブなプレーを取り戻す。チームは同点に追いつかれながらもエース、ルイス・スアレスのこの試合2点目のゴールで、イングランドから勝ち点3を奪い取った。ペレイラは結局、フル出場。彼の気迫が、チームの勝利を呼び込んだように映った。