【総務 その6】 マイナンバー制度を活用し、スマホとカード1枚で手続きを全て可能に!

僕は、既に数十回も区役所や出張所を訪問してきた。

住民票を取得する、戸籍謄本を印刷する、印鑑証明を取りに行く。引っ越したら住民票を届けて、戸籍を移したら手続きを済ませ、結婚したら結婚届けを出し、子供ができると出生届を出す。そしてゆくゆくは社会保険の受給等の手続きがある。

こうやって、人生のうち、僕たちが行政手続きに費やす時間は合計数百時間に及ぶかもしれない。この時間は何も生み出さないまったく生産性のない時間だ。貴重な時間を一気に短縮する可能性がある新制度が、「マイナンバー(国民ID)」だ。マイナンバーがあれば、引っ越しの際、クリック一つで行政や水道、ガス、電気などの手続きも可能となり得る。

また、個人情報をクラウド管理することにより、災害や環境変化の際の情報保全はより強固になる。東日本大震災の際に、通帳・年金記録・保険証などの個人情報や、病院が保存していたカルテなどが失われた。

年金や健康保険、民間の火災保険などの情報がマイナンバーによって電子政府内でリンクされていれば、被災した方々への保険金の支払い、証明書の再発行や義援金の振込、医療の提供などの様々な支援が円滑化されたであろう。企業が内外の脅威に対して事業継続計画(BCP)を立てるように、個人にとってのBCP・危機管理のためにも、個人情報のクラウド化はきわめて重要である。

加えて、国民の銀行口座などの情報をマイナンバーと紐づけできれば、個々人の正確な収入や資産の把握が可能となり、徴税率を上げる事が可能だ。いわゆるクロヨン(納税の補足率が給与所得者9:自営業者6:農林水産業者4)と言われるような不公平な状況を改善できる。

世帯の状況や個人の資産・収支状況が正確に把握出来れば、年金の不正受給や、死後でも年金を受け取るような不正の排除、生活保護費の不正受給の排除など、社会保障の適正化にもつながる。マイナンバーで国民の年金情報が管理されていれば、大問題となった「消えた年金問題」もなかったであろう。また、毎年800~900億円規模ともいわれる休眠口座の捕捉に役立つこととなろう。

国民一人ひとりにIDを付与するのは今や世界の常識だ。韓国では、国民IDを利用して自宅のプリンターで交付可能な証明書は6種類(住民票など)もある。ほとんどの行政手続きがワンストップ化されているのだ。エストニアでは、国民IDを使って電子投票までできる。

マイナンバーの導入に関しては、以前から、100の行動でもその必要性を指摘してきた(100の行動11 経産5「政府のIT化を速やかに実現せよ!」)。昨年の法律制定によって、マイナンバー制度の導入が決まったことは、評価すべきことだ。

導入が決まったからには、マイナンバー制度を、国民にとって「使える」制度にしなければならない。決して大失敗に終わった住基ネットの二の舞にせず、国民の利便性を圧倒的に高めるとともに、国家運営の高コスト構造を抜本的に改善するものにすべきだ。

1. 住基ネットの二の舞とならぬよう、マイナンバー制度の制度設計では「包括性」「利便性」「拡張性」「一体性」を確保せよ!

昨年成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)では、以下のスケジュールを規定している。

2015年10月から国民にマイナンバーの付番と通知
2016年1月から「個人番号カード」の交付とマイナンバー制度の利用開始
2017年1月からは電子政府の窓口となる「マイポータル」を運用開始

マイナンバー制度の導入によって、先述したように、我々国民が各種行政手続きに無駄に費やしている時間を圧倒的に短縮することが可能となる。マイナンバーの導入は、電子政府を支える基礎的要件であり、最優先政策として取り組むべき課題であったにも関わらず、日本ではこれまで、国民IDというと「総背番号制度」や「国家による個人情報の管理」といったネガティブな反応が極めて多かった。

そのため、今世紀初頭、住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)は、大失敗に終わったのだ。個人情報保護の過度の反応から、住基ネットに対する反対運動やそもそも住基ネットにつながない自治体も出てきて、裁判まで起こり、数千億円のシステム費用をかけ、ほとんど誰も使わない住基カードをつくり、壮大な無駄に終わった。

マイナンバーへの抵抗勢力の言い訳は、常に「個人情報漏えいリスク」だ。個人が特定されない形でのデータ活用をシステム的に可能にすることと、本人認証をきちんとした上で自分の情報にはどこからでもアクセスできること、の二点を両立させることが重要である(御立尚資氏)。

マイナンバー制度を住基ネットの二の舞にしてはならない。個人情報保護は確かに重要だが、そこは確かなセキュリティで保護し、あらゆる情報をつなげ「圧倒的な便利さ」を生み出すことで国民に普及させることが必要だ。同時に、マイナンバー制度導入で行政の高コスト構造を抜本的に変える必要がある。そのために必要なのは、以下の4つの基本方針だ。

(1)「全ての行政サービスを含む包括性」
(2)「行政サービスの電子化による利便性」
(3)「民間・法人への拡張性」
(4)「クラウドによる国、道政府、基礎自治体の一体性」

それぞれについて順番に詳述していこう。

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