「超入門 資本論」【第6回】
企業が利益を生み出せる理由~剰余価値の種類~

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【第5回】はこちらをご覧ください。

労働者が、給料以上に働き、それが企業の利益になる

前回は、企業の利益がどのように生み出されるかを解説しました。

ここで、注意してみると、企業の利益になる「剰余価値」は、労働者が商品を生産する過程で生み出した付加価値だということに気がつきます。労働者は自分の労働力の価値よりも多くの価値を生産し、そしてこの差額分が剰余価値とされるのです。

これが、企業が利益を生み出せる理由です。労働者が自分の給料以上に働き、価値を生み出し、それが企業の利益になっているのです。

企業は、原材料を仕入れ、機械設備を使い、労働者を雇って生産活動を行っています。それだけ考えると、企業はそれらすべてを使って利益を出しているように思えます。つまり、原材料や機械設備も利益を生み出しているように感じます。しかしそれは違うのです。

前回説明したように、綿花の価値と機械の価値(機械の減価償却分)は、そのまま金額を変えず綿糸の価値に移転するだけでした。

例えば、機械設備に10,000円を使ったら、できた商品のうち10,000円分は機械設備のおかげ、機械設備という形をとっていた「価値」が、形を変えて、商品という「価値」に変化しただけなのです。

つまり、綿花や機械の形をしていた「価値」が綿糸の形に置き換わっただけで、全体の価値は全然増えないのです。ということは、いくらいい原材料を仕入れようが、いくらいい機械設備を使おうが、企業の利益は増えないということです。

もちろん、いい原材料を使ったら、商品の値段を高く設定することができます。普通のお茶よりも、たとえば静岡産の高級茶葉を使った方が高く売れます。でも、その分「原材料の仕入れ」も増えているので、企業の利益は増えていないのです。仕入れ以上に価値を増やせるのは、労働だけなのです。

原材料が加工されて、形が変わっても、価値が増えるわけではありません。そこに労働者が手を加えるから、価値が上がるのです。高い材料だから、さらに利益をたくさん稼げるわけではありません。これは非常に重要なポイントです。

原材料(綿花)や機械設備などは、いくらいいものを仕入れ・導入しても、形が変わって商品の中に移るだけで、その価値の大きさは全く変化しません。これを資本論の用語で、「不変資本」といいます。

一方、労働力という「原料」は少し違います。綿糸の例でいえば、4,000円で買っても、結果的に8,000円の価値を生み出しています。このように価値が増えるのは、「労働」だけです。この労働を、不変資本に対して「可変資本」といいます。

つまり、企業は、労働者を働かせることによって、支払った価値以上を生み出せる、利益を上げることができるのです。

じつは、この事実こそが現代の企業が苦しんでいる理由であり、資本主義経済を表す本質なのです。

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