伊藤博敏「ニュースの深層」
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東京医大と大成建設の450億円新病院建設工事疑惑は、なぜ不起訴で終結したのか

2014年06月19日(木) 伊藤 博敏
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                                                                                             photo Thinkstock / Getty Images

学校法人の闇が炙り出されるのではないか――。

そんな期待を持たせた東京医大の450億円新病院建設工事をめぐる強要未遂事件は、警視庁捜査2課が大学、ゼネコン、右翼など関係者の事情聴取を重ねた末、起訴を求めない「しかるべき処分」という形で、6月13日までに書類送検した。

事件の構図は、以下のように「複雑怪奇でいて、さもありなん」と思わせるものだった。

東京医大副学長の告発に「動かぬ証拠」があった

東京医大は2016年に創立100周年を迎える。それに合わせて新大学病院と既存病院の改修工事を行うことになった。

この450億円のビッグプロジェクトの有力候補は、かねて大学理事会と親密で過去に実績もある大成建設。だが、飯森眞喜雄副学長は「公正を期すべき」と反対の声を上げた。すると、飯森氏に対する右翼街宣攻撃が始まり、それを「中止させる」と大成建設の多田博是副社長が乗り出してきた。中止させる条件は、飯森氏の辞任だった――。

大学理事会が、工事発注などをめぐって特定ゼネコンと親密になるのは不思議なことでない。学校法人の業務執行機関は理事会だが、非営利法人をいう“建前”もあって、経営や運営の素人が理事に選ばれることが多い。その結果、押し出しのいい独断専行型が理事長として君臨、ゼネコンを始めとする出入り業者との癒着を生む。

ただ、それが表面化することは少ない。なかでも私大は、みなし公務員として、接待供応や金銭的な便宜が、贈収賄罪につながる国公立大学と違い、多少の見返りは「商慣習」とみなされる。

過去に多くの私大で、疑惑が指摘されながら事件になることがほとんどないのは、捜査当局が乗り出すような証拠がなく、見逃されていたためだ。

今回、警視庁捜査2課が飯盛氏の告発を受理して捜査着手したのは、動かぬ証拠が存在したからだ。

時系列で辿ってみよう。

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