読書人の雑誌『本』
『騙し合いの法則 生き抜くための「自己防衛術」』著:竹内久美子---答は動物に聞けばよい
騙し合いの法則 生き抜くための「自己防衛術」』著:竹内久美子 税抜価格:1300円 ⇒Amazonはこちら

この本のテーマは、『騙し合いの法則 生き抜くための「自己防衛術」』というタイトルからもわかるように、人間のサバイバル術や人と人との関係についてである。担当のKさんにそう提案されたとき、私はひどく戸惑ってしまった。

何しろ人間関係や人づきあいなんて苦手中の苦手。組織で過ごした経験と言えば、大学の研究室くらいのものだ。後はひたすら人を避けて生きる道を探し、どうにか物書きというポジションを得ただけなのである。

「そんなの無理です! 人間関係は私にとって一番縁遠いテーマだから」

ところがKさんは大きく否定した。

「そんなこと、わかってます。何も人間自体を扱う必要はありません。動物の行動や社会から、人間を考えればいいんですよ!」

なるほど、そういうことか・・・・・・と感心している場合ではない! そもそも動物行動学とは、最終的には人間について知るための学問なのである。何とも間抜けな私であった。そこでさっそく、動物行動学に出会った頃を思い出し、教科書的な本、数冊で勉強のやり直し。もちろん、その後の研究の発展についても調べてみた。

そうしていくつかのテーマをピックアップしたのである。

互いに顔や姿を覚えられる動物では、まず間違いなく順位をつくっている。社会に順位があるということは、本当に不公平なのだろうか?

メスとの交尾のために密約を結ぶヒヒがいる。人間ではどうなのか。

チンパンジーのオスが権力の座につくためには協力者の存在がぜひとも必要だ。しかも同盟関係はころころと変わり、そういう状況にあっては孤立こそが最も避けるべき事態だ。このあたりはほとんどそのまま人間に当てはめることができるだろう。

動物界には騙しが横行している。弱そうに見せかけて近づき、突如本性を現すなどというのは定番中の定番。あるいは本当は体が柔らかく、傷付きやすいが、それを悟られないようさかんにハサミで脅す、脱皮直後のシャコ。

人間はどうか。なぜ人は人を欺くのだろうか。

動物界には、ちゃんと縄張りを構え、メスを惹きつけるという王道を行く繁殖戦略をとるオスがいる一方で、縄張りは構えず、メスの横取りだけをするという邪道ともいえる戦略を繰り出すオスがいる。はたしてどちらが得なのだろうか? 人間の場合も同じように考えられるだろうか?