秒読み段階のソフトバンク・Tモバイル買収交渉:成功率はたったの10%!?
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ソフトバンクのTモバイル買収が秒読みに入っている。米国のメディアでは連日のように「買収に失敗した場合の違約金は20億ドル(約2,037億円)」「買収後はTモバイルの名前が残り、昨年ソフトバンクが買収したスプリントの名前が消える」などとニュースが飛び交っている。

しかし、Tモバイルが買収に合意したとしても、3兆円を超えるソフトバンクの大型買収を米連邦政府が承認するとは限らない。逆に「政府承認が得られる可能性は10%」と分析する証券アナリストもいる。そうした厳しい環境の中、ソフトバンクはTモバイル買収を進めようとしている。同大型買収案に関する最近の状況を分析してみよう。

後手にまわり迷走する米スプリント経営

詳しくない読者のために米国携帯業界の状況を簡単にまとめてみよう。

日本とほぼ同じ3年前から米国でも高速携帯データLTEの整備競争が始まった。業界トップのベライゾン・ワイヤレスが他社に約1年半ほど先行して整備を進め、それを同2位のAT&Tが追った。業界4位のTモバイルは資金力や無線免許に乏しいため、大都市部分にだけLTE投資を集中させる戦略をとる一方、持ち込み端末の自由化や端末アップグレードの早期化、破格の格安携帯プラン投入などを行った。

そのため、ここ1年ほどはトップを走るベライゾンと廉価なTモバイルに人気が集まり、業界2位のAT&TはTモバイルとの安売りプラン競争を展開するに至っている。

一方、スプリントはLTE整備競争で後手が続いている。資金調達を狙ってソフトバンクからの買収提案を受け入れたが、衛星TV大手ディッシュ・ネットワークの割り込み買収を防戦したため買収完了が約8ヵ月遅れた。この間、同社のLTE整備は空転を余儀なくされた。

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また、ソフトバンクは日米市場での相乗効果を狙いハイブリット方式(TD-LTE+FD-LTE)普及を買収目的のひとつと考えた。そのため、買収後にスプリントのネットワーク整備計画はハイブリッド方式に大きく変更された。こうした変更はスプリントのLTE整備をますます遅らせる結果となった。

LTE競争に遅れた同社は人気を失い、携帯加入者を減らす「スプリント一人負け」状況が過去1年以上続いている。しかも、13年第2四半期から純減率が増加しており、米携帯業界ではスプリントの迷走に憂慮が広がっている。

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