「SXSW 2014」に見る、今後の技術・産業動向を占う10のキーワード【前編】

2014年06月20日(金) 赤羽 雄二
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出典: http://sxsw.com

キーワード5: ロボティクス

SXSW2014では、ロボットに関して20近くのセッションが開催された。

●ロボットが労働力の代わりになるか、我々の仕事はなくなるのか、どう変わるのか?
●外科手術においてロボットがどう活用されるのか?
●クラウドの活用によりロボットの知恵が集合としてどう改善されるのか?
●目の不自由な人にどう視界を提供するのか?
●農作業をどうロボット化していくのか?
●ゲームがロボットとAIによってどう変わっていくのか?

倫理的かつ心理的側面からの議論は、こちらにも詳しい。

また、Amazonの配達で話題になった無人航空機であるドローンに関しても、利便性と監視、プライバシーといった倫理的、社会的視点から議論された。

ドローンはもともと兵器として開発されてきたもので、平和に慣れた日本人には、その背景や今後への意味合いを掴みづらいかも知れないので、こちらの記事をぜひ見てほしい。

SXSWでは、米国の警察官が使うスタンガンよりも高電圧のスタンガンを装備したドローンのデモがあった。日本では考えられないが、飛行しているドローンから、観衆の前で実際にスタンガンをその会社のインターン生に向けて作動させ、電気ショックを与えた。

この会社の創業者は、「自宅が強盗などに襲われた時、ガードマンよりもこのドローンの方がはるかに安全で効果的だ」と語っている。もし警察が到着するまでの間にまた動き始めたらスタンガンをもう一発お見舞いするとのこと。倫理的観点あるいは社会通念上も、日本では議論自体もしづらいレベルだ。

ロボットに関しては、昨年12月から今年1月までの2ヵ月間に、グーグルがロボットベンチャー7社+人工知能の会社1社を買収し、大変話題になった。

特に、そのうちの1社が東大発ベンチャー「SCHAFT(シャフト)」であったこと、SCHAFTは米DARPA(国防高等研究計画局)主催の災害救助ロボットコンテストで優勝したこと、などで大いに注目されていた。

SCHAFTは国内でVC10社や産業革新機構に出資を求めたが不調に終わり、DARPAの開発資金や共同創業者が関わっていた投資ファンドから資金を得て試作機の開発にこぎ着けた。そこに、グーグルが目をつけ、素早く買収したという経緯だ。

日本の科学技術力がもし高い場合でも、それを商業化する際にシリコンバレーのように開発資金がふんだんに提供されなければ、実現できない。実現できないどころか、国内の優秀な技術シーズが続々とグーグル、アップル等の米国企業に買われる危険が大いに高まっている。

これまで米国のイノベーションについて語ってきたが、最近、EUは世界最大の民間ロボット開発計画を開始した。EUは、ロボットの世界市場が今年の3兆円から、2020年には8兆3千億円に伸びると考えており、欧州がロボットの新製品や技術をリードすることをねらっている

6月3日、欧州委員会と180の企業と研究機関(euRoboticsの下に結集)が、Sparcという研究・開発計画を開始し、製造業、農業、保健、運輸、市民社会セキュリティ、家庭を対象としている。欧州委員会、euRobotics合わせて3,900億円を投資する計画で、欧州で24万を超える雇用の創出とともに、国際市場における欧州のシェアの42%への拡大を目指している

翻って日本では、6月5日、ソフトバンクは感情移入ロボットを来年2月に19万8千円で発売する、と発表した。フランスの技術を使い、台湾で生産する。製品価格は、月額使用料等を前提にした、赤字設定だと考えられている。

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