「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第49回】 ECBの「ゼロ金利政策」は果たして有効なのか?

マリオ・ドラギECB総裁 〔PHOTO〕gettyimages

「政策金利がマイナスに突入した」は不正確な表現

6月5日、ECB(欧州中央銀行)は、追加緩和策のパッケージを発表した。

具体的には、1)政策金利であるリファイナンス金利を0.1%ポイント引き下げ、過去最低の0.15%とする、2)中銀預金金利を0%から-0.1%に引き下げる(いわゆる「マイナス金利」の導入)、3)上限金利である限界貸出金利を0.35%ポイント引き下げ0.40%とする、4)金融機関に対し合計4,000億ユーロの資金供給オペ(LTRO、期間4年)を実施する、5)固定金利でのオペを継続する、6)証券市場プログラム(SMP)による不胎化オペを停止する、等が発表された 。

さらに、記者会見でマリオ・ドラギECB総裁は、「必要であれば、さらに追加の緩和措置を講じる」と、デフレリスクが払拭できない場合には量的緩和を含む追加緩和を実施する可能性にも言及した。

このように、新たな緩和政策のヘッドラインを見る限り、今回のECBの追加緩和策は大規模であるようにみえるが、その効果については疑問であると考えざるを得ない。さらに、ドラギ総裁が言及した量的緩和を含むさらなる追加緩和の可能性に関しても、最終的には行わざるを得ないだろうが、(ユーロ圏のデフレリスクを払拭させるという意味での)実効性のある追加緩和が早いタイミングで打ち出されるとは考えにくい。

そう考えると、ユーロ圏の長期金利はまだまだ下がるし、現在、一休みしているユーロもデフレリスクの再燃から強くなる(つまりユーロ高になる)と予想する。

注意すべきは、今回の追加緩和政策では、一般的にいうところの「政策金利(日本でいえば、無担保コール翌日物金利、米国でいえば、実効FFレート)」がマイナスになった訳ではない。そのため、各メディアが一斉に報じた「政策金利がマイナスに突入した」という表現は実は正確ではない。今回、マイナス金利となった中銀預金金利は、日本や米国でいえば、「超過準備」に適用される金利に相当する。

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