サガミザメのオスは大地震を予知する!? はじめての深海ザメ漁に大興奮。

長谷川さん親子と

溢れ出る高揚感と裏腹に、徐々に強くなる風。厚みを帯びた灰色の雲は時間の経過とともに厚みを増しているようだ。何か事件が起こりそうな予感がする、ざわつく海面。

「自然の摂理」という言葉は理解しているものの、この状況を私の頭はなかなか受け入れようとしない。海況が悪化していくのを少しでも食い止めようと、信じてもいない神様にお祈りを捧げてみたが、その想いもむなしく、スマートフォンの画面に表示されていたのは風速15メートルの文字。加えて、うねりも3メートルと時化予報。5月21日に予定されていた深海ザメ漁はあえなく中止となり、予備日として設けた翌日22日に望みは託された。

今回訪れたのは、東京から西へおよそ200kmの静岡県中部に位置する焼津(やいづ)市小川(こがわ)漁港。港には所狭しと漁船が係留されており、車から降りると、心地よい潮の香りがした。

日本で一番深海ザメに熱い街「焼津」

焼津の深海ザメ漁について説明するには、第二次世界大戦にまで話が遡る。当時は深海ザメの肝油が重宝され、国がそのすべてを買収していたという。その使い道は、ゼロ戦の潤滑油として使われていたというから驚きだ。サメの肝油は上空の低温でも固まらない性質のため、潤滑油に最適だった。他には偏西風を利用した風船爆弾にも使われていたという。

しかしながら、その時代と比較すると今では需要は大幅に減り、肝油などの健康栄養補助食品やスクアランオイルという化粧品に使われるに留まっている。深海ザメを専門に獲る漁師はだんだん少なくなり、今では、たった一隻になったという。

その船の名は「長兼丸(ちょうかねまる)」。

その日、私が乗る予定だった漁船だ。

深海ザメ漁の期間操業をする漁船は他にもあるというが、一年を通して、深海ザメを狙う漁をしているのは、日本でこの船だけ。長兼丸三代目漁師の長谷川さんと、息子である一孝さん(四代目)の二人で操業している。

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