古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン動画版Vol.017
「アメリカと一緒に人を殺すようなことがあれば、当然、そのどっちが正義かということとは別に必ず敵をつくっていきます。」

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンVol093(2014年6月6日配信)より

「安保条約に片務性がある」というのは大間違い

古賀茂明(以下古賀): 次に、当然、ここで触れなくてはいけないのは、集団的自衛権の話ですね。先週、安倍さんのイニシアチブで、ついに集団的自衛権を認める方向性がだいぶ見えてきました。もちろん正確には、これから与党の中で議論しますということですから、決まったわけではありませんが、もうほとんど決まったに近いという状況になっています。

この議論の前提になっている日米安保条約というのが、なにか日本に都合のいい条約で、「片務性のある条約だ(だから集団的自衛権を容認して日本も義務を果たすべき)」という解説を、よく自民党の人たちがするんです。要するに片方だけが義務を負っているという。

私は、この「片務性のある条約である」という考え方は、まったくの間違いだというふうに、考えています。私が考えているというよりは、多くの人もそう思っているかもしれませんけれども。

それはなぜかというと、安保条約というのは、これはあくまでも条約です。条約というのは、国と国の約束です。アメリカと日本が約束をしたわけです。これは途中で改定もされていますけれども、この10年、20年、見てみると、少なくともアメリカのほうから安保条約を変えてくれという話はないですね。日本の国内では、安保条約そのものについての見直しの議論もありますけど、より大きいのは地位協定が問題だ、それを改訂しようという議論です。

その意味するところは何かというと、普通に考えると条約ですから、政府と政府が約束するのですが、その両国の政府が、この内容は自分にとっていいのか、全体として見て、損をするというのであれば、普通は結ばないわけです。

ということは、アメリカから見れば、全体として見れば、この条約はいい条約だねということになっているはずですね。しかもアメリカの議会で、もちろん承認されるわけですから、アメリカの議会から見ても、この条約はいい条約だねということになっていたはずです。

もし仮に、いや、いろんな時代の変化に伴って、アメリカに損な条約だと、そういうふうになってしまったということであれば、アメリカはですね、そういう状況を放置しているような、甘い国じゃない。すぐに改訂を要求してくるはずです。

ということは、安保条約はアメリカから見ても、日本から見ても、決して日本だけが一方的に優位に立つ、あるいは得をする条約になっているというものではない、というふうに考えるべきだと思うんですね。

もちろんアメリカは日本を守る義務があるけれど、日本はアメリカを守る義務がないという、その一点だけを取れば、「片務」ということになっているわけですけれども、日本側はその代償として、沖縄を始めとして、数多くの米軍基地を日本の中に置いていいですよということを受け入れています。しかも、その基地というのは、普通の国にある米軍基地とは、もうまったく違って、ほとんどアメリカ軍が自分の好きなように、自分の領土と同じぐらいの自由度で使えるというアメリカにとっては非常に重要な基地になっています。しかも、それは条約上の義務だけじゃないです。条約上の義務をさらに超えてまで、日本は思いやり予算というようなものを含めて、非常に大きな基地関連の予算を負担しています。

もしもですね、日本がアメリカに基地を撤去してくれということを言った場合、アメリカは、もちろん撤去すればいいじゃないかっていう考え方もあるんですけれども、実際にはそれはできないですね。

なぜかというと、例えばサイパンとかグアムに全部、移すということにした場合、そのあとの軍基地を維持するための費用、日本が今まで負担していたものを全部、アメリカが負担しなくちゃいけなくなりますので、これは財政的に非常に苦しくなって、同じような基地を、同じように維持するということはできなくなるという状況にあります。なので、これはどう見ても、アメリカから見れば、そんなことは絶対にできないという、そういう意味で内容は違うんですけど、それぞれが違った義務を負っていって、天秤にかければ、だいたいイーブンだねということになっているというのが、安保条約の内容です。

もちろん日本の中ではですね、アメリカのほうが、もっと得しているというふうに言っている人も多いんですけれども、控えめに見積もってもトントンだねというものだと思います。

したがって、自民党がよく言う、「日本は助けてくれと言うくせに、アメリカが攻撃されたときに助けてやらないというので、そんな日本のことを守ってくれるはずないじゃないか。だから日本もアメリカを守る義務があるんだ」と、こういう非常に幼稚な議論には絶対に乗ってはいけないのです。

ですから、「片務性」ということについては、まず否定するということが必要だというふうに思います。

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol093
(2014年6月6日配信)より