「対話とは、共鳴のポイントを探るプロセスだ」---忙しい現代社会に日常を問い直す余白をつくるユニット「対話部」

佐藤 慶一 プロフィール

この中岡氏の言葉は、「対話の展示」における問いにもつながる。問いの展示だけでなく、「なぜ、あなたは"望む未来"に向かわないのか?」という問いをもとにワークショップも開催。参加者がグループをつくり対話を行った。

「起きてしまったことに対しては戻ることができません。しかし、未来に向けてどうするのかを考えることはできます。都合のいい意味付けが重要になることもあります」と古瀬氏。北川氏は自分の体験がいつか活きる時まで待つ「体験に対する判断の保留」も大切だという。

対話部がとらえている「対話」についても伺った。言語化が難しい言葉でもあるが、古瀬氏は「共鳴するポイントを探っていくプロセス」が対話だという。

中岡氏は、振り子時計を発明したオランダの物理学者クリスチャン・ホイヘンスの例を紹介。2つの個体が同調・共鳴する際に、実は周囲にあるあらゆるものとのシステム的な運動が関係している、という知見から、「同調するピンポイントを探る技法」が対話だと語る。

そんな対話が、対話部にもたらしている効果とはどのようなものなのだろうか。

「対話によって、3人で着地点を探す、答えを探せるという安心感がある」と北川氏。中岡氏は「常に目の前の問いを認識して、体験することは楽しい。けれど、本当にいいことなのかはまだわからない」という。

「対話は生きる上で必要不可欠なもの。ポイントを探すことを強制するのでもなく、同調しないこともあっていいと思います。ときには対話をする必要性がないかもしれませんが、人生を豊かにできるひとつのアプローチとしてこれからも伝えていきたいです」(古瀬氏)

「忙しなく流れていく現代社会に日常を問い直す隙間・余白をつくる」という対話部のコンセプトを潜在的に求めている人は多くいると感じる。しかしながら、必要としていても、暮らしの中の問いを通り過ぎている人はそれすら気づかないかもしれない。

7月13日(日)には、対話部の4回目となるイベントが開催される。タイトルは「私と絵本、~絵本を通して見る世界~」。幼い頃に誰もが読んだが、大きくなってからほとんど読まなくなる「絵本」。今回は、そんな絵本と私たちの関係を問い直していくそうだ。