「対話とは、共鳴のポイントを探るプロセスだ」---忙しい現代社会に日常を問い直す余白をつくるユニット「対話部」

佐藤 慶一 プロフィール

対話部はこれまで3回の対話イベントを開催している。それぞれ「空回りする関係」「関心と無関心のあいだ」「対話の展示」というテーマだ。今回の「問いを作品として展示する」という切り口はどこから生まれたのだろうか。

「昔のイギリスのコーヒーハウスやパリのカフェは、社会のことを考える場として機能していました。そこから文化や芸術、時代がつくられていたこともあり、サロン的な場をつくってみたかったんです」と古瀬氏。

中岡氏は、仮面つくっている友人の展示に行ったとき、仮面を見ながら作家と話している光景を目にしたことから「展示のような空間では、おのずと対話が生まれるのかもしれない」と思ったそうだ。

また、「世界の終わりのものがたり」という問いを展示した企画展もヒントの一つになっているという。「参加型のイベントにもかかわらず、参加者同士の横のつながりがほとんど生まれていませんでした。知らない隣の人と関わりを生み出すようなイベントがしたいと思いました」と古瀬氏。

「対話の展示」における「問い」という作品。3人でアイデアを持ち寄り、9つの問いを考えるのは1日がかりだった。そんな問いに関わった参加者からは「普段の暮らしに敏感になり、自分を深く見つめてしまうことがある」といった感想をもらうことがあるという。

自分の内側で起こることを深く見つめ、違和感や問いに気づきやすくなることも対話の効用なのかもしれない。古瀬氏は対話の場には「一種のトレーニング要素がある」と語る。

体験学習の最初のベースは「気づく」ということ。体験に気付いて、どのようにすればいいのかを考え、より良い方向に行動する、という3ステップ。対話に参加して敏感になったのは、気付く段階になったことを意味するのだ。

「世界や暮らしに対して、敏感になってほしい」と古瀬氏。一人ひとりが「本当に問い直したいことは何か?」を考えることで、忙しい日常のなかに問い直す余白をつくるためのきっかけになる。中岡氏は「決して過去に戻れないということを踏まえた上で、今、ここにある現実をどのように認識し、考え、行動していくのか」を伝えたいという。