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スノーデン本『暴露』は「内部告発冬の時代」を変えるきっかけになるか
〔PHOTO〕gettyimages

内部告発者をどのように守ったらいいのか

「のろのろしていると、スノーデン悪人説流布に向けた政府プロパガンダが始まってしまう」

これは、米国家安全保障局(NSA)によるスパイ活動を暴いたベストセラー本『暴露 スノーデンが私に託したファイル』(新潮社)からの引用だ(引用は原書から)。同書を読むと「ジャーナリストは国家権力から内部告発者をどのように守ったらいいのか」について深く考えさせられる。

原題は「ノー・プレイス・トゥー・ハイド(逃げ場なし)」だ。NSAの下請けとして働き、内部告発に踏み切ったエドワード・スノーデン氏が主人公だからだ。同氏はNSAの国家最高機密を漏えいしたとして国家権力からにらまれ、捕まれば米秘密保護法違反(スパイ防止法)で終身刑に処せられるのは必至だ。現在はロシアへ亡命している。

同書を書いたのは、弁護士を経て英ガーディアン紙のコラムニストなどを務めたアメリカ人ジャーナリストのグレン・グリーンワルド氏。スノーデン氏からNSA機密文書を入手し、それを基にしてスクープを放った張本人であるから、生々しいエピソードをいくつも盛り込み、迫力満点の作品に仕上げている。

中でも、グリーンワルド氏が香港でスノーデン氏と対面し、機密資料を極度の緊張下でどうやって特報するかを描いたシーンは、スパイ小説さながらだ。後になって、グリーンワルド氏のスクープを載せた英ガーディアン紙の編集局に英当局が乗り込み、機密情報の入ったパソコンを破壊したというのだから、同氏の緊張は決して大げさではなかったのだ。

「調査報道のバイブル」ともいえる点では『大統領の陰謀』に似ている。1974年出版の『大統領の陰謀』は歴史的なウォーターゲート事件に迫り、米ニクソン政権の不正を暴いた調査報道の金字塔だ。『暴露』同様に、スクープを放った記者本人が内部告発者といかにパイプを築き、どんな取材を手掛けたかを克明に記録している。

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