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仕事の指示は具体的に出してはいけない。必要なのは、ゴールを共有すること。それができれば、あとは現場に任せればいい。
東燃ゼネラル石油 武藤潤

原油の輸入・精製から販売までを手掛ける東燃ゼネラル石油。ガソリン、灯油、ジェット燃料などさまざまな石油製品を扱い、「エッソ」「モービル」「ゼネラル」のブランドで全国にサービスステーションを展開する。'12年には、米国の石油大手エクソン モービル コーポレーション(EM)の日本事業を買収した。率いるのは、工場長を9年務めた「現場主義」の武藤潤社長(54歳)だ。


 
むとう・じゅん/'59年、栃木県生まれ。'82年、横浜国立大学工学部卒業後、ゼネラル石油(現東燃ゼネラル石油)へ入社。'93年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了。技術センター・エンジニアリングマネジャーなどを経て、'04年取締役和歌山工場長、'06年常務取締役川崎工場長、極東石油工業取締役就任。'12年6月から現職 ※東燃ゼネラル石油のwebサイトはこちら

差別化

弊社の商品は石油です。でも、この商品自体で他社と差別化するのは難しい。競争力をつけるには、生産性を高めるしかありません。輸入した原油から抽出したガスを冷やして液体に戻す作業が精製ですが、石油を精製するためにも石油が必要なんです。仮にこれを10%減らせば、年100億円以上のコストが削減できる。CO2の排出も減るので、環境にも優しい。これらを追求すれば、勝負できる。

サービス

98年、セルフ式のガソリンスタンドが日本で解禁になりました。日本では普及しないという声が当初は業界内でもあったようですが、欧米はセルフが普通ですし、なにより自分で給油するのは面白い。必ず支持されると思っていました。ガソリンスタンドのことを「サービスステーション(SS)」と呼んでいます。給油をする場所という固定概念を捨てれば、可能性は無限に広がる。店舗形態も、セブン―イレブンと提携するなど、新たな試みを広げています。

決断

過去30年、日本の石油産業は右肩上がりでしたが、需要はピークを打ちました。生き残るために、これから需要が拡大するアジア圏へ出て行くのも一つの選択肢。けれど、従来のEM社の子会社という立場では迅速な経営判断が難しい。社員に「儲からなくても親会社がなんとかしてくれる」という甘えもあった。これでは競争には勝てません。

そこで'12年6月、EM社の日本事業を買収する形で誕生したのが東燃ゼネラルグループです。買収額は3000億円。大きな投資だったので、慎重に検討した上で、最終的にはやってみようと決断を下しました。

現場 工場での勤務が19年と、現場を長く経験した。社長になった今でも、「時間が許す限り、工場に足を運ぶようにしている」という。写真中央が武藤氏

生意気?

若い頃は、とにかく生意気でしたね。上司に何か命令されると「何のために必要なのですか」と必ず質問し、理由を説明せずに「いいからやれ」というタイプの上司にはことごとく反撥していた。さらに、「こうすればもっとよくなるのでは」と言いに行く。「先輩を先輩と思わない奴」と思われていたことでしょう。ただ「お前、言い過ぎだ!」と言いながらも、そんな自分を受け入れてくれた。懐が深い先輩ばかりでした。