【総務 その2】 「廃県置道」② 中央政府から地方へ権限と人材を移管せよ!
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「100の行動」では、都道府県を廃止し、日本に新たな12の道(10の「道」と2の特別区)を置き、20~40万人からなる300程度の基礎自治体に再編する「廃県置道」による日本の新しい国のかたちを提言した。

今の日本の構造的な問題は、権限と財源の多くを国が持ち、地方は交付金・補助金依存の行政であるため、地方が主体的にダイナミックな政策を展開できない点だ。

そのために、地方が適切な投資によって収入を増やす努力や、費用を削減して将来に備える施策などが行われずに、補助金を頼りに費用対効果を考えない無駄な行政が延々と続いてきた。

実際、各地で活躍する知事と話をしても、「経済振興策を講じようとしても財源も権限もないため、企業誘致くらいしか手が無い」「財源はほとんど交付金依存で、支出の大半は年金など社会保障費が占めている。高齢化の進展は財源の硬直化をさらに進めており、県としての自由度などほとんどない」といった嘆きの声が聞こえてくる。

この現状を打破するには、我が国は「廃県置道」を断行し、地方政府を再編して行政地域・規模を拡大した上で、中央政府が持つ財源と権限を人材とともに地方政府に移管することが必要不可欠だ。

十分な規模と財源・権限・人材を持った地方政府は、経済の強化や政治・行政の効率化などの政策を、主体的に展開することが可能になる。一方の中央政府は、外交・防衛などの専門分野に特化し、小さく強い政府に変わることができるのだ。

今回の行動では、国、道政府、基礎自治体の役割分担を整理した上で、国から地方への権限委譲に関して論じることとする。

1. 中央政府・道・基礎自治体の役割分担をゼロベースで見直せ!

新たな道州制による日本は、現状の国と都道府県、市町村の役割分担の実態に縛られることなく、ゼロベースで中央政府・道政府・基礎自治体が担うべき業務を、見直すことが必要だ。

道州制における基本的な考え方は、「近接性の原則」「補完性の原則」である。すなわち、市民に最も近接している基礎自治体が行政サービス全般を担当し(近接性の原則)、それを補完するために、広域による施策や効率的・合理的な業務を道政府が担当する(補完性の原則)。当然、道政府レベルでは戦略的な意思決定も求められる。そして、道政府でも担うことが困難な対外政策や防衛政策、通貨政策は中央政府が担当するという形態だ。

基礎自治体への行政の権限集約には、一定の規模化が必要であり、そのために基礎自治体は20~30万人規模の300強の市町村へ合併・集約されることが基本だ。基礎自治体への権限集約により、これまで都道府県が担ってきた役割が縮小し、道州制による広域行政が可能となり、新たな道政府は、中規模国家レベルの経済運営・行政運営を、グローバルな視点で進めることができるようになるわけだ。

これによって、これまで様々な政治的・歴史的経緯によって重複してきた国、都道府県、市町村の行政を「重複型」から、「分割型」に改める。国から地方政府への直接・間接の関与を撤廃したうえで、効率性が担保された地方政府のガバナンスを確立するのだ(地方政府の議会のあり方は、別の「行動」で詳述する予定)。国の関与が無くなれば、地方政府の政策の透明性も向上し、意思決定の自由度も高まり、対外的な説明責任も強くなる。

三重県の鈴木英敬知事は、次の通りコメントしている。

「主権は国民にあり、国民自らができないことを基礎自治体に権限移譲し、基礎自治体でできないことを広域自治体に権限委譲し、広域自治体でできないことを国がやる、というのが本来の分権である。しかし、今は制度設計がそうなっておらず、国からの分権という形になっていることが残念である」

だからこそ、「国からの分権」ではない、廃県置道が重要になる。では、次に中央政府、道政府、基礎自治体の具体的な役割分担を、論じていきたい。

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