国税3連敗! 注目裁判で当局が負け続ける功罪とは
                                                                                    photo thinkstock photos / Getty Images

国税当局が負け続けている。

相手は、ストックオプション(自社株購入権)で巨額報酬を得た外資幹部、巨大企業の日本IBM持ち株会社、不動産取引で巨利を得た弁護士と元妻の公認会計士……。

注目裁判で負け始めた国税局

かつて国税当局は、国家権力そのものとして君臨。裁判所も国税と同じ国の側に立つものとして判決を下していたので、国税は無敗神話を誇っていた。

だが、証拠捏造事件など検察不祥事が相次ぐなか、裁判所が、脱税事件を仕上げる検察との一体感を見直すようになった。また、裁判員制度の導入がそれを後押し、「起訴状頼みの判決文」といった“悪弊”は見直され、裁判官が自らの頭で判断するようになった。

国税3連敗は、善くも悪しくもその帰結である。

今年1月31日、東京高裁は約1億3200万円を脱税したとして所得税法違反の罪に問われたクレディ・スイス証券元部長の八田隆被告の控訴審判決で、「故意があったと認めるには疑問が残る」として無罪を言い渡した昨年3月の一審判決を支持、検察側の控訴を棄却した。

八田氏は、「会社から支給される給与と同様に、源泉徴取されていると思っていた」と、捜査段階から一貫して無罪を主張。検察側は、「不合理な弁解で、脱税の故意は明らかだ」としていたが、その「故意」を裁判所に認めさせることができなかった。                                                                                  

続いて、5月9日、東京国税局から約4000億円の申告漏れを指摘された日本IBMの持ち株会社「アイ・ビー・エム・エイ・ピー・ホールディングス(APH)」が、課税処分の取り消しを求めた訴訟の判決があり、東京地裁は課税処分を取り消した。

東京国税局が問題視したのはAPHの節税スキームである。APHは、米IBMが保有する日本IBMの全株を取得。これを複数回に分けて安く日本IBMに売ったことで4000億円超の赤字を計上。それを日本IBMの黒字と相殺した。

「APHはペーパーカンパニーで、株売買の条件に経済合理性がない」と、東京国税局は主張したが、東京地裁はAPHの「持ち株会社としての一定の機能」を認めたうえで、「税逃れの意図があったとは認められない」と、国側の主張を退けた。

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