【国土交通 その10】 「海洋立国ニッポン」海洋統治を強化し、新たなフロンティアを開拓せよ!
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東京から1700キロ南下した日本最南端の沖ノ鳥島で2014年3月30日、港湾施設工事中の桟橋が転覆し5人が死亡する事故が起きた。何ヵ月もの間船上で寝泊まりし、変わりやすい気象に左右される洋上での工事であったという。辺境の地で国益の最先端の現場を担われていた方々の尊い犠牲である。心よりご冥福をお祈りする。

なぜ沖ノ鳥島という辺境の小島で大型工事が行われていたのか。それは、日本の国益を守るためだ。日本の最南端の国土である沖ノ鳥島は、国土面積を上回る約40万平方キロメートルの排他的経済水域(EEZ)を小笠原諸島や南西諸島周辺の排他的経済水域と接する形で有しており、周辺の海底ではレアメタルなどの存在も認識されている。

また、中国は同島を「島ではなく岩」と主張し、日本のEEZを認めない立場をとって中国海軍による周辺海域での大規模演習を続けている。中国を牽制し、日本の権益を守るためにも安全保障戦略上重要だ。

古来、他国と国境を接する大陸国家にとっては、辺境ほど国家防衛上重要であり、辺境にあらゆる資源を投入してきたのが歴史の事実だ。6000以上の島からなり、四方を海に囲まれている日本という島国にとって、辺境は「海」だが、島国であるがゆえにこれまでその意識は低く、海洋の重要性は認識されてこなかった。

しかし、海洋国家日本にとって、海洋は他国との国境という意味での重要性のみならず、広大な海はまさにフロンティアとして大きな可能性を持つ。日本の持つEEZは、前述の通り国土の12倍、世界第6位の広さを誇る。

これまでの調査によって、メタンハイドレート、レアアースなどの各種エネルギー・鉱物資源が豊富に存在していることが確認され、日本が資源・エネルギー大国となる可能性も潜んでいる。

海洋基本法の制定から6年が経過し、昨年には新たな海洋基本計画も策定された。経済成長の大きな可能性を有する海洋という新たな成長フロンティアの開拓と、その前提となる海洋統治の強化は、海洋国家日本にとって重要な課題だ。

直前の【国土交通 その9】では、海洋を海上保安庁の立場で守る手法を提言したが、今回は海洋を経済的なフロンティアとして活用することを主眼に置いて提案する。

1. 辺境海域離島における低潮線保全の強化を!

政府は、2010年5月に「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律」(低潮線保全法)が成立し、低潮線を保全していくことが決まった。

EEZの幅を測定するための基線は、通常は海岸の低潮線とされている。海洋国家である我が国が発展するためには、EEZの基点となる辺境海域離島における低潮線の保全は特に重要だ。

特に先述した日本の最南端の国土である沖ノ鳥島は、国土面積を上回る約40万平方キロメートルの排他的経済水域を提供する島であり、極めて重要な離島だ。

従い、今回の悲惨な事故の原因を徹底的に究明しながらも、事故の再発防止を期して、継続的に低潮線を保全する工事を継続することを望みたい。

こういった離島における海洋資源の開発・利用、海洋調査等に関する活動をさらに活発化し、実効的な管理を行うことがとても重要だ。

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