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捨ててこそ、楽しい人生が始まる!60すぎたら、どんどん捨てなさい【part2】無理するから不幸になる。親の面倒は自分でみなくていい

無理をするから、お互いが不幸になる
親の面倒は自分でみなくていい

「捨てる」といっても、人生の整理においては、ゴミ箱にポイッと捨てれば終わりというものばかりではない。特に人間関係がそうだ。人と人との繋がりは大切なものだが、第2の人生の自由を奪う枷にもなる。

もっとも濃い人間の繋がりは、家族だろう。中でも、どうしても捨てられない—誰もが、そう思いこんでいる存在が「親」だ。

だが、埼玉県在住の加藤美津子さん(61歳・仮名)は、意を決して、実母を「捨てた」。

「母は今86歳ですが、70代前半から認知症になりました。それから十数年、自宅で介護を続けてきたのですが、夫が60歳で定年退職したのをきっかけに施設に預けることを決意したんです」

そうしようと決めたのは、近所の60代後半の知り合いが、同じように認知症の親を介護している姿を見てきたからだ。彼女はしょっちゅう辛いとこぼし、ついには自分もうつ病になってしまった。そして、一緒に介護をしていた彼女の夫は転倒して、骨折。老々介護の痛々しさに、かける慰めの言葉も見つからなかったという。

「母は施設に入るのを嫌がっていたので、最初はすごく後ろめたい気持ちでした。関西で暮らしている妹夫婦からも『冷たすぎる』と非難されました。でも、今は思い切って施設に入れてよかったと心から思っています」

母を施設に入れることで、加藤さん夫妻の生活はどう変わったのか。

「夫が証券マンだったので、現役時代はゆっくり話す時間もなかった。でも今は、とても充実した夫婦の時間を持てるようになり、月に1回は温泉旅行を楽しんでいます。

私がお嫁に行くとき、母から『幸せになりなさい。親のことで自分の幸せを壊すことはないよ。自由に生きなさい』と言われたんです。認知症が進んだ母が、今も同じように考えているかどうかはわかりませんが、自分も子供を持つ身になって、私自身もかつての母と同じような思いを抱いています。その母がくれた言葉を信じて、私は母を『捨てた』のです」

こう語る加藤さんだが、もちろん完全に関係を絶ったわけではない。毎週末、施設を訪れて顔を見せ、一緒に庭を散歩する。「できる範囲で」という介護に切り替えたことで、加藤夫妻の生活が生き生きと蘇った。

老前整理コンサルタントの坂岡洋子氏は、加藤さんのような形で親を捨てるのは、決して悪いことではないと言う。