賢者の知恵
2014年06月01日(日) 週刊現代

岡田准一、竹中直人らが語った『軍師官兵衛』から『孫子』『三略』『六韜』「兵法の極意」を学ぶ

週刊現代
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「謀は密なるをもってよしとす」「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり」

武力ではなく、知略で戦国の世を生き抜いた無敗の軍師を描く大河ドラマも中盤を迎え、面白くなってきた。ここぞという場面に登場する中国兵法の古典の言葉は、現代にも通じる戦略を教えてくれる。

生き残る知恵が詰まっている

『軍師官兵衛』は、前半の佳境を迎えている。織田信長に反旗を翻した荒木村重の説得に向かった黒田官兵衛が、幽閉されて生死の境をさまよう有名な逸話の場面が始まった。大河史上初めて、主人公が身動きのとれないまま、物語は進む。

官兵衛(岡田准一)にとって、有岡城での幽閉は、「人生最大の危機」であった。しかし、幽閉されている間に、天下は大きく動く。

この事件を契機に、播磨(現在の兵庫県南部)の豪族・小寺政職(片岡鶴太郎)の一家臣だった官兵衛は、羽柴秀吉(竹中直人)の配下に入ることになる。その後、本能寺の変を経て覇者への道を走る秀吉の下で表舞台に踊り出て、天下統一の謀を為すようになるのだ。つまり、ここから真の「軍師官兵衛」が誕生していくのである。

権謀術数に長けた「軍師」を表現するために、今回の大河では独特の演出方法が採られている。それが、戦や、謀略を駆け巡らせる、ここぞというときにテロップ付きで強調される「兵法の成句」だ。

『軍師官兵衛』の時代考証を務める小和田哲男・静岡大学名誉教授は言う。

「ドラマの登場人物たちは、これまでにも増して『孫子』や『三略』、『六韜』、『呉子』など、中国の兵法の古典の言葉を用いるようになります。これらは仏教、とりわけ禅宗を通して中国から日本へと伝わり、先人の残した『戦の教科書』として、戦国時代、武将たちによく読まれたのです。

武田信玄の旗印として知られる、疾きこと風の如く……からはじまる『風林火山』も、『孫子』にある言葉です。官兵衛も、それらの兵法書を禅寺で学び、軍師として実践に応用した武将の一人でした」

これらの兵法書について、『最高の戦略教科書孫子』などの著書がある中国古典研究家の守屋淳氏はこう解説する。

「『孫子』が高い質を持っているのは、書かれた時代が、いまからおよそ2500年前の春秋戦国時代だったからです。『三略』や『六韜』も、古代中国の戦乱期に書かれたものと言われています。その時代は、一対一の国家の戦いではなく、ライバルがひしめいていた。

一つの国との戦に勝つことだけ考えていては、第三国から侵略されてしまう。生き残るためには、狡猾に動かなければいけない。その知恵が詰まったものがこれらの兵法書なのです。兵法というものは、現代の言葉に言い直すと、『戦略』と言えます」

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