『東北から起ちあがる100人』
2014年06月05日(木) 加藤小也香

医療の枠を越え、幸福な高齢社会の礎となる【後編】---武藤真祐(祐ホームクリニック理事長・宮城県石巻市)

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訪問診療は3名1組のチームで動く。武藤医師のチームは自称「チームA」。阿吽の呼吸の作業分担が見事だ

前編はこちら

日本の他地域が学ぶべき優良事例として取材・視察も増加

時を経て2013年末。開設から約2年を経た祐ホームクリニック石巻を訪ね、訪問診療に同道した。

看護師の女性と、診療アシスタントを兼ねるドライバーの男性と3人1組のチーム。行き先は、個人宅や高齢者向けのサービスアパートメント、老人ホームなどさまざまだ。

ただ、一様に印象的なのが往診を受ける患者や家族のくつろいだ笑顔。「ゆう先生、今日はね、塗り絵をやってたんよ」「満州にいたときの写真、そこにあるから見てって」「今日はちょっと足が痛い。昔の傷かもしれん」「畑をはじめたんよ、ほらその裏に」。

おじいちゃん、おばあちゃんが口ぐちに武藤氏に話しかけ、離さない。寝たきりで言葉はもうまわらず、それでもぎゅっと手を握って離さない患者もいる。柔らかい表情でそれに応えながら、手元では前回診療時との差分を強い集中で確認する。

傍らでは看護師が脈を取り、慣れた手つきで「いつもの引きだし」を開けて薬の残量を数え、アシスタントは診療の流れに応じた準備をし、変化を記録しながら、「満州の話、5回目ですよ」「武藤先生は東北弁がわからないから、時々、通訳してあげないと」などと言って笑う。

診療アシスタントの男性は2011年の震災当時、タクシー運転手をしていたのだが、石巻を案内してまわるうち武藤氏の思想に共感するようになり、祐ホームクリニック開設時に転職してきた。

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