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変化は速い、流れが読めない会社は死ぬ PART2 孫正義はどこまで大丈夫か。あの巨大企業はきっと消える
日本の有名企業これから大きく伸びる会社消えるかもしれない会社
創立から33年で「1兆円突破」の孫社長〔PHOTO〕gettyimages

成毛眞(元マイクロソフト日本法人社長)×真壁昭夫(信州大学経済学部教授)×本誌経済担当

実は古典的な経営者

本誌 ソフトバンクが営業利益1兆円の大台を突破しました。同時に孫正義社長の悲願だったNTTドコモ抜きを達成し、携帯業界で日本トップの地位を獲得しました。

真壁 孫さんはいままでの日本の経営者では考えられないような巨大リスクに挑んできた。その勝利の証でしょう。先日、あるIT関連の創業経営者に「孫さんはどうしてあんなにリスクを取れるんですか」と聞いたら、「彼は死にかけたことがあるからだ」と言っていました。

成毛 そうなんです。孫さんは25歳の時に慢性肝炎で倒れて経営の一線から退いたことがある。その時に真壁さんがおっしゃる通り、本当に死にかけて、そこから失うものがなくなった。だから外野からは巨大なリスクを背負っているように見える時でも、孫さん自身はとても冷静でいられるんです。

本誌 ただこの間NTTの人に取材したら、「ソフトバンクだけには負けられない」といきり立っていましたよ。巨大NTTがなりふり構わぬ反転攻勢に出てきたら、再逆転もあるのでは。

成毛 NTTの人って、昔から通信インフラだけを提供する「土管屋」にはなりたくないと言うんです。実際、独自のサービスやアプリも開発しようとするんだけど、これが全然使い物にならないものばかりでね。ほかにもはなから勝算がないインドに進出し、先日撤退が決まったばかり。一方で孫さんが偉いのは「土管屋」に徹して、サービスなどはヤフーや中国のアリババと手を組む戦略をとってきた。NTTは余計なところに経営資源を使い過ぎている。差は開くばかりでしょう。

真壁 通信業者にとっての強みは通信網なんだから、言いかえればNTTは自らの強みを消してしまっていることになる。孫さんはリスク経営ばかりが注目されますが、実は自分の強みを理解してそこで勝負できるとても古典的な経営者でもあるんです。

本誌 携帯電話関連で話題を転換すると、任天堂の岩田聡社長が「スマホ専用ゲームは作らない」との意思を改めて語ったことが話題です。任天堂が3期連続で営業赤字になっている中で、グリーやディー・エヌ・エーが主導してきた携帯ゲームに活路を見出すべきだとの意見は真っ当に聞こえるんですが、岩田社長の経営判断をどう評価しますか。

成毛 なぜ岩田社長が「スマホ無視」をするかというと、任天堂は昔からずっと「10歳」の子供をターゲットにしている会社だからなんです。スクウェア・エニックスなどほかのゲーム会社のユーザーというのは年々高齢化しているけど、任天堂だけは唯一無二、この「10歳」というのを貫いている。そして11歳の子を持つ親は子供が塾に通い始めるからスマホを買い与えるけど、10歳の子に年間通信料6万円も払う親は限りなく少ない。だからスマホ用ゲームを作らないのは経営方針がブレていないという意味で正しい。英断です。

本誌 問題は10歳がワクワクできるゲームを任天堂が作り続けられるかどうかですね。ブレる、ブレないという点でいうとソニーの経営がブレまくっている気がするんですが。不動産会社まで始めるということで、どこに向かおうとしているのか見えてこない。

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