「超入門 資本論」【第3回】
あなたの給料は、こうやって決まっていた

〔PHOTO〕gettyimages

【第2回】はこちらをご覧ください。

前回、商品の値段の決まり方を解説しました。商品の値段(相場)は、その商品が役に立つかどうかよりも、その商品を生産するのにかかる「労力」「生産コスト」が基準になって決まっています。

もちろん、商品にはメリット(使用価値)も必要です。メリットがないものは誰も買いません。しかし、それは「買う/買わない」の判断です。それ以前にある、商品の相場(値段として、いくらが妥当なのか)は、その商品のメリットよりも、その商品をつくるのにかかった労力・原価コストが重視されているのです。

今回の本題はここからです。

マルクスは、取引されるものはすべて商品であると説きました。そう考えると、あなたが提供する労働力も商品だということになります。あなたは、会社のために時間と体力と精神力を使って働きます。そして対価として給料を受け取ります。これは立派な取引ですね。つまり、労働力も商品なのです。

ということは、「労働力の値段」も、商品と同じように決まっているということになります。つまり、ぼくらの給料は、商品の値段の決まり方と全く同じように考えることができるのです。

商品の値段は、商品の「価値」が基準になって決まっていました。その商品を作るのに、どれくらいの労力がかかっているのか、どれくらいの原材料が必要なのか、どれだけの原価がかかっているのか、によって「価値」が決まり、それを基準に値段が決まっているのです。

ぼくらの労働の値段も一緒です。給料も同じ理屈で決まっています。だとすると、みなさんの給料を決めているのは、「みなさんの労働力を作るために必要な要素の合計」と考えられるのです。

商品の価値は、商品を生産するのに必要な要素の合計です。つまりこれは、その商品の「生産コスト」です。同じように、労働力の価値も、労働力の「生産コスト」で決まるというわけです。

給料は、あなたを働かせ続けるために「必要なコスト」で決まる

ではその「労働力をつくるのに必要な生産コスト」とは何でしょうか? 

人間が働くためには、その仕事にみあった体力と知力(知識・経験)が必要です。労働者に知力と体力がなければ働いてもらうことができません。

たとえば、マラソンを走り終えたばかりでエネルギーがゼロになってしまった人を働かせることはできません。労働者として働いてもらうためには、食事をして、睡眠(休息)をとって、再びエネルギーを満タンにしてもわらなければいけませんよね。この時にかかるコスト(食費、睡眠のための住居費など)が、労働力をつくるために必要な「生産コスト」です。

同じように、業界未経験の人を会社に連れてきて、みなさんと同じレベルで働いてもらおうとしても無理です。仕事に必要な知識や経験がないからです。まずは知識・経験を身につけてもらわなければいけませんよね。この時にかかるコストや労力(学費・研修費、勉強時間など)も労働力をつくるのに必要な「生産コスト」なのです。

そして、これらの「労働力の生産コスト」を積み上げたものが、そのまま労働力の価値になり、その労働力の価値が基準となって、みなさんの給料が決まっていくのです。

体力的にキツイ仕事は、そうでない仕事に比べて、エネルギーをたくさん必要とします。そのため、エネルギー補給のためのコストが多く必要です。だから、そういう仕事はその分だけ給料が高くなります。

また、医者や弁護士など、専門的な知識や長年の経験が必要な仕事は、そのために必要な知力を身につけるのに膨大なコストと労力がかかります。だから、医者や弁護士の給料は高いのです。

これは非常に重要なポイントですので、改めて整理しますと、こういうことです。

例えば、ペットボトルのお茶をつくるためには、お茶を仕入れる、容器を仕入れる、デザインしてもらう・・・が必要です。

同じように、みなさんが「労働力」を作るためには(働けるようになるには)、

・食事をしなければいけません。食費がかかります
・体力を回復させなければいけません。住居や生活設備が必要です。住宅費がかかります
・服を着なければいけません。衣服代がかかります
・ストレス発散のために気晴らしが必要です。娯楽費がかかります
・仕事をするための知力が必要です。この時に知識習得費がかかります

つまり、これらの合計が「労働力の価値」になり、みなさんの給料を決めているのです。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら