ドイツ
欺瞞に満ちたEUの構造を浮き彫りにする「極右政党」の台頭
フランス「国民戦線」党首のマリーヌ・ル・ペン氏

EU懐疑派が大躍進した議会選挙

EU議会の選挙が終わった。それぞれの国情に合わせて、22日から25日までの間に投票が行われた。まず、第一陣として投票結果の出たオランダでは、台頭が予想されていた反EUを標榜する右翼政党がそれほど伸びなかったので、「アレッ?」という感じだった。ところが、その後、投票が進むにつれ、EU懐疑派はやはり大躍進したのである。

フランスの「国民戦線」とイギリスの「イギリス独立党」は、それぞれの国内で第一党となり、ドイツのAfD「ドイツのためのもう一つの選択」は、新生の党であるのに7%もの票を得て、古参の緑の党や左派党に迫った。

EU各国に散らばるこれらのEU懐疑派政党を、ドイツの新聞も日本の新聞も、こぞって「極右」と書いているが、しかし、はたしてこれらを極右という言葉で十把一絡げにしてよいものか?

たとえば、次期のEU議会に議員を1名送り込むことになるドイツのNPDなら、おそらく極右の名にふさわしいだろう。この政党は、陰に陽にヒトラーを賛美しており、数年前、党の存在自体が違憲であるとして訴えられた経歴を持つ。

その結果、判決は無罪で、党の存在は認められたものの、同党は今でも当局の監視を受けている。民主主義にとって危険思想の持ち主の集団と見做されているのだ。

しかし、今回、フランスやイギリスで躍進した政党は、憲法を遵守しているし、これからも遵守するだろう。敢えて言うなら右派急進派ではないか。いずれにしても、彼らが民主主義を崩そうとしているとは思えない。

ドイツのAfDに至っては、元CDU(現在の最大与党・中道保守・党首はメルケル首相)に所属していた党員も多い。CDUがあまりにも左に寄り過ぎたことに不満を持っていた人たちが、居所を見つけたという感じだ。

目下のところ、ドイツのメディアは、彼らがあたかもナチであるように書きたてているが、それは違うだろう。頑固な保守で、もちろん右翼に陣取るが、良識の範囲をそれほど逸脱しているとは思えない。

だからこそCDUは、有権者がさらに大量にAfDに逃げることを警戒している。AfDは大きなミスを犯したり、仲間割れをしない限り、ここ数年の間に、普通の党として定着するのではないか。そうなれば、将来は、メディアももう少し口を慎むだろう。

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