中学の「公民」の教科書をめぐる問題について--憲法改正は既定事実・集団的自衛権の解釈改憲まで書いてある驚き
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンvol091---日本再生のためにより

手続き的にどうなのか?

沖縄県竹富町と文科省の「争い」が注目されている。

教科書無償措置法という法律がある。この法律では、同一県内の一定の範囲内にある市町村を共同採択地域として、その地域内の小中学校は同一の教科書を使うことを規定している。竹富町は、沖縄県八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)に属しているが、八重山地区の協議会が選定した「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を使用することを拒否して、東京書籍版を採択した。竹富町は、市町村が教科書を選べるとする地方教育行政法を根拠にしたが、文科省は<共同採択地区で同一教科書の使用を義務づけた無償措置法に反する>として、教科書を選び直させようと、政務官を派遣して指導したり、県の教育委員会に地方自治法に基づく是正要求を出したりしたが、竹富町は従わなかった。

自民党は、教育委員会が教科書を選定する際に、日教組などの影響を受けて、偏った内容の教科書が選ばれていると考えている。また、彼らは、八重山地区の協議会が選んだ育鵬社の教科書は良い教科書だが、竹富町の選んだ東京書籍の教科書は、偏った教科書だと見ている。

今回問題となっている中学の「公民」の教科書で見ると、実際の全国シェアでは、東京書籍が過半を占めているという。育鵬社はわずか数%だが、最近シェアを伸ばしている。横浜市が採択したのが大きい。横浜市は、中田宏前市長時代に教育委員を入れ替えて、保守色を強めた構成になっているという。

教科書無償措置法は極めて杜撰な法律で、法律を読んだだけでは、地区ごとの協議会などどこにも出ていない。法律上協議会に採択権限はない。朝日新聞によれば、文科省内でも竹富町の主張に理解を示す声があるという。構成員が3市町で、2対1の僅差の議論になっているのに、わずかな審議で反対意見を押し切った協議会の決定を協議の結果と言えるのか、という観点だそうだ。つまり、竹富町の行動が、本当に法律違反とまで言えるのかは、かなり微妙だと言ってよい。

・・・・・この続きは「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」vol091(2014年5月13日配信)に収録されています。

教科書を読んで驚いた―中・韓を嫌い、日本が特別であることを強調することが積極的平和主義につながる?

(略)両方の教科書(注:育鵬社と東京書籍)を取り寄せて、自分で全文読んでみた。この後は、主に育鵬社の例を挙げるが、比較しないとわかりにくいと思ったところは、東京書籍の記述も紹介することにしたい。

一部の報道では、育鵬社の教科書は、「保守色が強い」というような紹介はされていたが、実際にはそんな生易しいものではなかった。

(略)できれば、皆さんにも読んでいただければと思う。とにかく、こんなに違うのかと、本当に驚きあきれてしまう感じだ。特に、八重山地区の方々や、横浜市民で中学生のお子さんがいたら、必読だと思う。自分の子どもが、他の全国の学校とは違ってどういう教育を受けているか、知っておくことは大事だからだ。

ここで、すべてを紹介することはできないが、ごく一部を紹介しよう。ちなみに、5月5日の報道ステーションでも教科書比較をやっていた。私の知る限り、内容の比較そのものを行なった番組はこれだけではないかと思う。非常に意義深い取り組みだ。ただ、時間の制約があり、焦点がはっきりわからなくなってしまった感があった。もう少し、時間が長い番組でこの問題を取り上げてもらいたいと思う。

紹介したい論点の第一は、日本の特殊性を強調し、東アジアの緊張関係について日本の立場だけを教え込むことが、世界平和につながるのかということだ。

育鵬社の教科書を開くと、最初の見開きが、<文化や技術の創造と発信>と題して、カラー写真が10枚並ぶ。すべて、日本が世界に誇る技術や文化の紹介だ。世界の中で、日本が極めて高い地位にあるということが強調されているが、世界の他の国々にももっと素晴らしいものがあるという視点は全くない。日本の科学技術政策が、常にチームジャパンにこだわり、世界から取り残されつつあるのではないかと心配している筆者の目には、国威発揚にはいいが、もっと世界中で起きている新しいことを伝える部分もないと、この見開きを見た中学生が、日本はすごい、だから世界が日本を尊敬しているんだ、などと単純に思い込んだらどうしようと思ってしまった。